音を聞いての設備異常監視:究極の非接触監視

 マイクを使って非接触の設備異常監視を実現、”音のプロ集団”が提案は、面白い技術だ。設備へのIoTの活用といっても、実際には、どんなセンサーをつけるのか、とか、そもそも計測できないぞ、とか、実用化には、いろんな障害がある。
 そんな中で、音で判断というのは、非接触で、かつ、現状の設備に手を入れる必要がないので、使えればうれしい現場も多いだろう。

DRAMはやはり半導体の米だ:IT企業のDRAM需要

 先端DRAMがボトルネックになる時代という指摘にはびっくりだ。Googleは、自社のサーバーで使うDRAMを確保するため、Samsungと特別に契約し、SamsungのDRAM工場のうち、月産2万枚分はGoogle専用ラインにしているという。それほど、DRAMが重要なのだろう。
 日本はDRAMを手放してしまった。でも、今でもDRAMは、半導体の米であることを、この記事は教えてくれる。これが、中国に移ってしまった時が、半導体の主役交代が韓国から中国へ交代したということなのだろうなあ。

特許公報の自動分類:使いたいメーカーは多いだろうなあ

 トヨタがAIを活用した特許分類自動化を開始、日立が提供という記事は、使いたい技術者が多いだろうなあ、と思った。メーカーの技術者で、嫌な仕事の1つが、特許調査だろう。自分の開発した技術が、他社の特許を侵害していないかを、商品化前に確認しないといけない。今は、電子化が進んでいるので、かなり楽になった。でも、面倒なことには違いない。これをAIが肩代わりしてくれるなら、使いたい。

製造業のオフィス:工場に右に倣えが多い

 昼休みが短く室内は薄暗い、レガシー製造業型のIT職場は活力が生まれないという記事には笑ってしまった。まるで、前職の大手電機メーカーのオフィスだったからだ。
 そんな時代後れのオフィスも、周囲の変化に負けて、変化させようという圧力がかかってくる。例によって、大企業は形から入るので、一気に斬新なオフィスになってしまう。でも、仕事というのは、そんなに一気に変化しない。今までは、時代後れすぎたことが、斬新すぎてやってられない、というようになってしまう。しかも、金をかける部分が、見栄えなので、やっかいである。
 私自身は、知的作業におけるオフィスで最も重要なのは、個人当たりのスペースと椅子だと思う。特に、いい椅子かどうかは、すごく重要だ。そして、いい椅子は、思いっきり高い。見栄えの方に金をかけすぎて、椅子の質は追いやられてしまう。しかも、空間はそれほど広げられないので、1人あたりの空間もそんなに広がらない。
 企画ならノートPCだけで仕事できるかもしれない。でも、IT技術者となると、やはり大きなディスプレイを2つは欲しい。キーボードも重要だ。
 仕事の場と同じくらい重要なのは、食だ。おいしい社内食堂というのは、シリコンバレーのIT企業の特色だ。でも、それを真似しようとするレガシー製造業は聞いたことがない。見栄えのいいオフィスがあったって、昼食がまずければ、うんざりである。

とうとう花粉症のシーズンがやってきた:早めにマスクは確保したが

 天気予報の花粉予想で、とうという「多い」という予報が出だした。花粉症の人間にとって憂鬱なシーズンの始まりである。
 今年は、新型肺炎の影響で、マスクが品不足だという。私自身は、花粉症で、マスクがないと通勤に差し支えるので、新型肺炎のニュースがあったときに、早いめに、花粉症を乗り切る分だけのマスクは確保しておいた。でも、出遅れて替えなかった人は大変だろうなあと思う。新型肺炎の予防にマスクがどれだけ役に立つかは諸説ある。だが、花粉症にマスクは必須である。マスクも処方箋があれば、優先的に買えるとかの処置もできないものだろうか、と思ってしまう。

中国のマスク製造:本業外でも必要なら作る-すごいなあ

 中国の技術メーカー700社がマスク生産へというニュースは、中国のすごさを感じさせてくれる。自社の生産ラインを維持するためにマスクが不足している。普通なら、どうすれば購入できるか、しか思い浮かばない。
 でも中国の企業は、無いなら作ろう、ということになる。自社でマスクを作ったことがなくても、である。この柔軟さと行動力は、さすが中国である。ちょっと、日本では、真似できないだろうなあ。

霞ヶ関のBPR:組織をリストラするのが先だと思うけど

 霞ヶ関周辺で「BPR」がリバイバルのなぜという記事を読んで思ったのは、本来の意味でのBPRをやりたいなら、まず組織をリストラすべきだ、ということである。無駄な仕事を見つけるには、そんな無駄な仕事ができないくらい人を減らすしかない。コスト意識のない人たちでは、絶対に、自分でBPRなどできない。BPR検討会を作って、余分な資料をコンサル会社に作らせて、という無駄な金が出て行き、国の借金に寄与するんだろう。

アセンブラの重要性:まあ古い技術者の戯言かもしれないが

 汎用機で育った技術者はオープンで活躍できるが逆はないのはなぜかという記事は、相変わらずの谷島節だ。でも、今でも新人教育でアセンブラをやっている企業があるのには驚いた。
 私は、組み込み屋なので、一般的なIT技術者よりも、アセンブラを使う機会は多かった。多かったというのは、現時点では、アセンブラを使ったことがないからだ。今、仕事で使っているPIC32は、MIPSコアだが、どんな命令体系なのかも知らない。armは、ディジタル回路設計とコンピュータアーキテクチャ[ARM版]で、命令体系は知っていて、この本で出てくる程度のプログラムは書けるが、それだけである。
 昔は、少なくとも、スタートアップルーチンは、アセンブラで書く必要があった。今では、開発ツールが自動生成してくれる。必要ないスキルは勉強する必要はない。
 でも、である。アセンブラは、CPUを理解する役に立つことは確かだ。

メーカーにとっての生産技術

 生産技術をないがしろにする製造業に未来はあるかは面白い分析である。そもそも、デザインで食べているようなアップルが実は生産技術を重要視しているように、メーカーにとっての生産技術は、今でもコア技術である。生産に関わる部分を全てを丸投げしても儲かるほどの、素晴らしい企画があればいいが、そんなものはどこにもない。生産技術を放棄するということは、メーカーであることをやめるということだと思う。

日本語教育の重要性:人は言葉で理解する

 9時10分前を理解できない若手を生んだ日本語軽視のツケに紹介されるエピソードを読んでげっそりした。長くなるがその一部を引用する。

「部下に『そのタスクは結構、骨が折れるから覚悟しておけよ』って言ったら、『え? 肉体労働なんですか?』って返された。どうやら骨が折れるを骨折と間違えたようだ」

 

「社長に褒められた部下に、『現状に胡座(あぐら)をかいてると、後輩に追い越されるぞ!』って活を入れたらキョトンとされた。あぐらをかいて座ることだと思ったみたいです」

 

「送られてきたメールが一切改行されてないので『読みづらいから、項目ごとに改行しろ』と言ったら、『改行って何ですか?』と言われてあぜんとした」

 

「営業先で『お手やわらかにお願いしますよ』と言われ、会社に帰る途中で『あの人、やわらかいんですね。どうしたらやわらかくなるんですか?』と真顔で聞かれた」

 

 もっと、いろんなエピソードが紹介されている。実話とは信じられないが、実話のようだ。基礎教育を怠ってきたツケがまわっている。
 語彙力のない人間に、新しい発想はできない。人間は、言葉で理解する動物だからだ。考えることのできる範囲は語彙の集合とほぼ重なるのではないか?技術者の場合、その語彙の中に、専門分野の語彙だけでなく、数学という語彙も入ってくる。言葉だけでは理解できないことも、数式でなら理解できることも多い。図的能力も語彙の一種だろう。
 結局、教育というのは、人の語彙を充実させることが大きな目標なのではないか?その基礎中の基礎は、当然、日本語だ。
 昔、ある著名な情報工学の権威が、プルグラミング教育なんかやる時間があるなら、国語教育をしっかりしろ、と言っていたのを思い出す。英語教育とか、いろんなことを、小学生のうちに始めさせてなにがいいのだろうか?
 国語と算数、この2つが基本である。少なくとも、組み込み技術者はそうだ。仕様書を日本語で書き、回路のかなりの部分はオームの法則で計算する。若い頃に勉強してきたことこそが、技術者としての基礎能力だと思う。