ワンタイムパスワードが破れるなんて

 ネットバンキング被害4倍に 「ワンタイムパス」破るという記事の題名は衝撃的だ。最も安全と思われるワンタイムパスワードが破られたというのだから。実際には、記事を読むと、かなりの手間と、ハッキンングするタイミングもからむので、簡単に破られるわけではないし、そもそもの起点は、フィッシングなので、誰もがひっかかるということでもないようだ。それにしても、である。ワンタイムパスワードだから安心だとは言えない時代、セキュリティに対する事故防衛は大変だ。

方法論から入ると何も生まれない

 ゾンビのようなイノベーション活動が生まれるわけの、

「イノベーション力が足りないから、デザイン思考を導入したい」というような、方法論ありきの相談を受ける機会がある

という導入には笑ってしまった。イノベーションを仕事にしている人たちは、本当に、デザイン思考が好きだからだ。だいたい、部署にイノベーションという名前をつける時点で、失格である。何をやりたいのかさっぱりわからない。
 とはいえ、大企業は人が余っているから、そういう人たちで、イノベーションという名前の部署を作る。でも、その部署は、何をすればいいのかわからない。そうなると、今までの仕事のやり方では、イノベーションは起こせない、となり、新しい方法論として、デザイン思考を、となる。そして、世の中の、イノベーションを仕事にしているコンサルからデザイン思考をありがたく学ぶが、当然、何も生まれない。
 新しい方法論は、何かを実現しようとするときに、取り入れるものである。今の仕事の時間をやりくりしてこそ、実務で役に立つ。

トランジスタ技術3月号の特集は「STM32Fマイコン教科書」:ビーム・フォーミング実験が使いこなしの参考になる

 トランジスタ技術 2020年 3月号の特集は「世界スタンダード!STM32Fマイコン教科書」。組み込みMCUのコアのデファクトはArmである。そして、そのArmコアのMCUの中で、個人で最も使いやすいモノの1つがSTM32Fである。開発環境が無償だし、何せボードが安い。
 今回の特集は、そのSTM32Fの特集である。STM32Fだけでなく、STM32シリーズの特徴を簡単に紹介している記事が、意外に参考になる。あとは、例によって、開発環境、Arduino/MicroPython/mbedという定番の記事。
 最後の信号処理編は、ビーム・フォーミング実験。MEMSマイクの信号をI2SでDMA転送し、内臓のDSPで信号処理し、USBオーディオやD/Aへ出力する。最近の開発環境がいくら優秀でも、こうした構成の設定と信号処理ソフトウエアの使いこなしは難しい。それを実例で見ることができる。本例と同じ使い方でなくても、DMAを使いたいとかの例として参考になると思う。

PowerPointを立ち上げる前に手書きで構想:まあ私はそうしているが・・・

 資料作りが苦手なエンジニア、「手書き8割のルール」を意識しようという記事は、え?という表題である。何か資料を作るときに、すぐにPowerPointを立ち上げるのではなく、手書きできっちりと構成を考えてから、最後にPowerPointでまとめよう、という記事だ。
 私のように、子供の頃にはPCが存在しなかった世代は、手書きが慣れている。修士論文も手書きだった。だから、何か資料を作る前に、手書きで考えてメモを必ず作る。でも、これは、デジタルネイティブ世代でないからだと思っていた。
 この記事では、手書きで考えることを奨励している。そんなものなのだろか?

工場へのサイバー攻撃

 工場などのネットワークは、基本的にインターネットとは切り離して使うのが原則である。設備系のネットワークは大抵がそうなっている。遠隔監視でインターネットに接続したいと提案しても、セキュリティの問題で却下されることが多い。遠隔監視システムを入れないと、何かあれば、現場へ行く必要があるので、できる限り入れておきたいのだが、却下する方の事情もよくわかる。今や、インターネットに接続していれば、富士通やNECといったIT企業でもハッキングされるからだ。
 侵入ツールはネットで買える、機密漏洩の厳しい現実と無防備な企業の実態という記事を読むと、絶対にインターネットには接続したくない、という工場関係者も多いはずである。

実務ノウハウの文書化

 忙しいと文書化できない。そして同じことを再発見しなければいけない。前に、同じ状況に陥ったのだけど、と思いながら、同じノウハウを再発見しなければならないことほど面倒なことはない。でも、それを文書化しておくのも実は面倒だ。文書化していたとしても、それをどこに書いたのかも忘れてしまうことが多い。
 このあたりのトレードオフは難しい。少なくとも、調べるのに時間がかかった時には、できる限り文書化するように努力だけはしている。

中国の超高速病院建設

 新型コロナウイルス対応で武漢に病院を建てたというニュースを聞いた時に、そんなに早くできるの?と思った。その写真付きの記事が10日間で建設の新病院、中国軍に引き渡し 3日に稼働へに出ていた。ちゃんと近代的な建物ができている。しかも、軍の衛生要員約1400人を患者の治療に当てるらしい。
 対応の遅さなど、いろんな批判がある。でも、日本で、こんなに早く病院を建て、医療関係者を派遣することができるだろうか?中国の底力を感じる。

QRコード式対応の改札:ゆくゆくは磁気乗車券を廃止-なるほどなあ

 JR東日本が新宿駅に新型改札機、QRコード読み取りは普及するかで、とうとう改札にも、と思った。そもそも非接触ICカードが普及した主役の1つがSUICAであったことは間違いない。今度はQR対応だ。まあ、これがQR決済を爆発的に普及させることになるとは思えないが、面白い対応だ。これで磁気乗車券を廃止できるらしい。確かに、切符だってQRコードを印刷すればよいわけだ。磁気乗車券よりもはるかに安価だろう。

リレーコンピュータがまだ動いているとは

 世界最古級のコンピュータを動かし続けるCEの挑戦という記事には、素直にすごいなあ、と感心した。
 リレーコンピュータを動かせるように保守し続けているというのである。私もリレーコンピュータは使ったことも見たこともない。それもそのはずで、ここで動かしているリレーコンピュータは、1959年製造と言うから、私と同じ年である。
 今さらリレーコンピュータを動かし続けることに何か意味があるのか、というと難しい。リレーによる論理回路など、今の時代、全く使われていないからだ。
 でも、世界最古級のコンピュータを動かし続けることができる技術資産が残っているという誇りは、大きいと思う。