東芝がロームに助けてもらう?

 ロームが資本提携も視野に東芝の半導体事業との協業へ、売上高合計は1兆円規模というニュースはなかなか衝撃である。東芝は、トランジスタ時代から大手の半導体メーカーだった。私は、マイコンは、もっぱら日立を使っていたが、トランジスタとかダイオードなどは、東芝を使っていた。今でも、ロジックICを提供している数少ないメーカーである。その東芝が、ロームからの資本提携を受けなければないないかもしれないというのは、どうしたものだろう。東芝の半導体は、今でも独自の地位を占めている。フォトカプラなどは、東芝以外を使ったことはない。経営者の罪は重いというしかない。

Interface5月号の特集は「ラズベリー・パイ5 大研究」:組み込み技術からみたラズパイ5

 Interface 5月号の特集は、「ラズベリー・パイ5 大研究」。題名の通り、最近発売になったラズパイ5の特集である。さすがにInterface誌らしく、技術面、応用面での内容が満載である。だいたい、ラズパイの記事といえば、Linuxのインストールなどの利用面が多い。本誌では、メインCPUであるSoCとは別に設けられたI/Oコントローラ「RP1」に関する記事があったりと、組み込み技術者が知りたい内容になっている。

小規模FPGAの実態

 私のような組み込み技術者が使うFPGAというのは、グルーロジックを小規模FPGAで実装するというものが多い。昔は、グルーロジック用のデバイスがたくさんあったが、今ではバスドライバなど一部のデバイスしかなくなってきているからだ。FPGAメーカーから見たら、たぶん、小規模FPGAは儲からない領域なのだろう。新製品といえば、高速大規模のFPGAが多い。
 とはいえ、一部のメーカーは、小規模FPGAを製品化している。そんな小規模FPGAのメーカーによる考え方の違いがよくわかるのが組み込みの「一番根っこ」を狙うか否か 戦略が別れる小規模FPGAの現状だ。そもそも小規模FPGA自体があまり記事にはならないので、この記事は貴重である。

アルテラ社がインテル社から独立

 新生アルテラが再誕、インテルからの独立で「FPGAだけに専念できる」によると、インテル社に買収されたアルテラ社が、再びインテル社を離れて、アルテラ社として独立するという。最初、アルテラ社がインテル社に買収されたときは、いい関係だと思った。1つは、インテルの製造技術を使って、高集積のFPGAを開発できるのではないか、ということ、さらに、インテル社の持つ、高速インターフェース技術も応用できそうだということ。さらには、インテル社の有するソフトウエア人材をうまく活用できるのではないか、ということである。
 技術面から考えると、プラス面が多そうに見えるが、マーケット的には、難しかったようだ。インテル社傘下では、ハイエンド製品に注力する必要があり、ローエンドの市場への新製品が出せないというデメリットがあるらしい。なかなか難しいものだ。

えっ、Psocでいつの間にインフィニオン社の製品になったの・・・

 インフィニオンが非車載マイコンをPSoCブランドに統合、エッジAIにも対応らしい。私のように古い組み込み技術者にとっては、PSocというのは、サイプレス社の、アナログモジュールを搭載した、他のマイコンとは一風異なったマイコンであった。でも、知らないうちに、インフィニオン者になり、かつ、一般向けのマイコンブランドになるのだという。半導体業界は、動きが激しい。

IoTに一括制御端末は必要か?

 前回、IoT応用製品の陥りがちなシーズ指向での話について書いた。Amazonが家電の一括制御端末、スマートホーム促進という記事によれば、AmazonがそのIoT応用製品のハブの位置を狙っているらしい。そのために必要な通信規格Matterも標準化した。さて、どうなんだろう?今現実にIoTとして実用化されているのは、スマホをリモコン代わりにするということだ。その延長線上で考えれば、スマホがハブになるというのが自然だ。でもなあ・・・。一括制御できる端末があれば、いいなあ、とも思うけど、別に、メーカー提供のスマホアプリでもいいような気もする。

ルネサスが米ソフトウエア会社のアルティウムを買収

 半導体、ソフトが主戦場 ルネサスが9000億円で米社買収という記事はびっくりした。アルティウムといえば、基板設計CADの大手である。ここを買収するらしい。何となく、イメージがわかない。ソフトウエア開発ツールの会社を買収するならわかる。今や、ソフトウエア開発ツールの使い勝手こそが重要だからだ。でも、基板設計CAD会社だ。ルネサス専用の基板設計CADとして、無償提供するのだろうか?何となくぴんとこない。

Interface3月号の特集は「ゼロから作るシリアル通信」:組み込み技術者必須の技術記事

 Interface3月号の特集は、ゼロから作るシリアル通信[UART/I2C/SPIをPicoで]。シリアル通信は、組み込みの基本的な通信方式である。とはいえ、UARTをきっちりと解説した教科書は、絶版になっているものが多く、なかなか良い教科書がない。
 本特集では、組み込みで今でも使われるUART/I2C/SPIを、その技術的な基本を解説した上で、PicoのGPIOを使って実際に実装するという特集である。
 組み込み技術者が必ず習得すべき技術である。

Interface 2月号の特集は[ルータ&アナライザ]ネットワークプログラミング2024:とがった特集記事

 Interface 2月号の特集は、ルータ&アナライザ]ネットワークプログラミング2024。プロトコルアナライザをESP32で作る。IPv6-IPv4トランスレータをラズパイで作る。さらには、情報指向ネットワーク技術「ICN」という新しい技術の概要の解説と実際にラズパイ上で実装してみる。
 ネットワーク技術と言っても、今までの特集でありがちな、TCPで通信してみようとかではなく、ちょっと技術的にとがった、本誌らしい特集である。

トランジスタ技術1月号の特集は「新生! Arduino Uno R4 本格派ルネサス版」:一気に32ビットマイコンを採用

 トランジスタ技術1月号の特集は「新生! Arduino Uno R4 本格派ルネサス版」。Arduinoの最新版であるArduino Uno R4のマイコンは、ルネサス社の32ビットマイコンRA4M1である。前バージョンのR3のマイコンが 8 ビット・マイコン ATmega328Pであったことを考えると、大幅な性能改善である。でも、Arduinoなので、従来のArduino Uno R3と互換性が高いらしい。
 本号の特集では、大幅に性能UPしたマイコンRA4M1で何ができるかがよくわかる構成になっている。しかも、Interface1月号の特集記事と同様に、AI生成での組み込みソフトウエアにも挑戦している。なかなか興味深い。