方法論から入ると何も生まれない

 ゾンビのようなイノベーション活動が生まれるわけの、

「イノベーション力が足りないから、デザイン思考を導入したい」というような、方法論ありきの相談を受ける機会がある

という導入には笑ってしまった。イノベーションを仕事にしている人たちは、本当に、デザイン思考が好きだからだ。だいたい、部署にイノベーションという名前をつける時点で、失格である。何をやりたいのかさっぱりわからない。
 とはいえ、大企業は人が余っているから、そういう人たちで、イノベーションという名前の部署を作る。でも、その部署は、何をすればいいのかわからない。そうなると、今までの仕事のやり方では、イノベーションは起こせない、となり、新しい方法論として、デザイン思考を、となる。そして、世の中の、イノベーションを仕事にしているコンサルからデザイン思考をありがたく学ぶが、当然、何も生まれない。
 新しい方法論は、何かを実現しようとするときに、取り入れるものである。今の仕事の時間をやりくりしてこそ、実務で役に立つ。