こんなにまで、ネットゲームに人生の時間を費やし、しかも作家として実社会に復帰できるなんて、少し驚きである。ゲームの世界が中心ある青年達の話を聞いても、どういう生き方なのか想像もつかなかった。こんなに打ち込んでいるなんて、本当にびっくりである。

 相変わらずの和田秀樹調である。ボケは、ボケている本人にとっては、そんなに不幸せではない、という。一方、ウツはつらいらしい。
 日本人は、とかく、他人に迷惑をかけるかどうかが気になるが、そんなことよりも、長生きしてきた自分にとって幸福感を感じるかどうかの方が重要という指摘は、その通りなのかおしれない。でも、やっぱり他人に迷惑はかけたくないが。

 題名を見れば、どうやれば90歳まで働けるのか、ということを書いた本のように思える。ところが本書はそうではない。内容が乏しいというのではない。90歳まで働くということに関する内容が書かれていないのだ。単に、筆者の、SONY現役時代から、今までの会社人生を振り返っただけの本である。まあ、その内容は、面白いといえば面白いが、90歳まで働くという問題意識を持った人が買う本ではないだろう。単なる暇つぶし本である。

90歳を生きること:生涯現役の人生学

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 雑誌に掲載していたエッセイの中から、「年をとるほどに人生が楽しくなる生き方のヒントになるものを選んで加筆修正」したらしいが、これを読んで「年をとるほどに人生が楽しくなる生き方のヒント」があるかどうかは、少し疑問。ネクタイの結び方を忘れた話とか、階段でつまづいた話など、後期高齢者の現状が書かれていて、ちょっと暗くなる。でも、そんな中でも、うまく折り合いをつけて生きていくという筆者の姿勢は、もうすぐ高齢者の仲間入りをする私の参考になった。

バッタを倒しにアフリカへ:ポスドクの大活躍

 日本におけるポスドクの扱いは、本当にひどい。よほど、実家が豊かでない限り、博士課程に進むものではない。私も、自分の子供には修士で就職するように強く勧めた。
 この著者は、そういう未来が不明な状況に耐え、自分の好きな道を進んでいった。本書は、その青春記(というには、ポスドクは年をとりすぎだが)である。今は、無事就職できたようだが、今度は、出た釘は打たれるという、日本の風土に苦しむに違いない。持ち前の明るさで、突き進んでほしいと願う。

トヨタ物語:トヨタの現場のDNAがすごい

 メーカーは現場が全てである。現場を知らずに、経営する経営者が登場すると、そのメーカーの業績は低下する。机上の空論など、メーカーにとって何の役にも立たないからである。この本は、トヨタの現場での歴史を追った貴重な本である。

スパイたちの遺産:読み終えるのが惜しい作品

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 名作「寒い国から帰ってきたスパイ」の続編という紹介だが、実際には、同じストーリーを違う視点で描かれた作品というべきだろう。寒い国から帰ってきたスパイは、当事者の視点から描かれた作品である。本書は、その作戦を仕掛けた側から描かれた作品だ。
 ル・カレのスパイ小説でおなじみのピーター・ギラムの引退後に、寒い国から帰ってきたスパイでの作戦が究明されることになる。既に世代交代してしまい当時の状況すらわからない若い世代にピーター・ギラムが尋問される。尋問の会話、記録文書、ピーター・ギラムの回想シーンという地味な内容なのだが、なぜか緊迫感があるのだ。さすがにル・カレだ。1931年生まれということだから、この作品が発表されたのは86歳ということになる。本書は、ル・カレからの遺産かもしれない。

探検!東京国立博物館:展示だけでなく建物の話も

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 博物館や美術館の本は、大抵の場合、展示内容の紹介が大部分を占める。だが、本書は。探検という題名からわかるように、国立博物館の書く建物を探検する本なのである。当然、その中で展示物も紹介されるが、建物の話も多い。

 ネアンデルタール人とか北京原人とか。いわゆる、現在人の前に存在した人類たち。
 その人類進化学の最前線を、第一線の研究者のインタビューをもとに、科学ライターがわかりやすく解説した本。本当に面白くエキサイティングに読める。
 専門家と科学ライターの組み合わせによる本、という形式は、科学の最前線を解説するのに、最も適した方法かもしれない。今後もブルーバックスは頑張って欲しい。

タイム・パトロール:古典的名作

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 タイムマシンによる歴史改変を防ぐために活躍するタイム・パトロールものの古典。長編というよりは、中編集である。それぞれの、結末が、少しコミカルだったり、ほろ苦かったりで、読後に余韻が楽しめる。