前作と同様、犯人は最初からわかっていて、その犯人と被害者の話が出てきて、その悲劇をどう食い止めるか、というパターン。前作の、このパターンがあまりにもスリリングであったため、本作はそれに比べて、あまり緊迫感がなく前半が過ぎてしまう。下巻の方は、面白くなるので、さすがなのだが。

ユービック:ディックにしか書けないSF

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 何という不思議なSFだろう。ディックのSFらしく、最初は、小説の世界を理解するのに時間がかかる。テレパスや予知能力者と、その能力を不活性化する能力を持つ不活性者が存在し、不活性者を派遣する会社が存在する。未来社会は、身近なドア、テレビ、冷蔵庫などは、使う都度、料金が必要となっている。
 そんな社会で、事件が起こり、その事件も、時間が逆行するという事件で・・・。
 次々とディックの世界についていかなければならない。でも、その努力に見合う面白さだ。

Google誕生:草創期の発展がよくわかる

 2006年刊行の本なので、ネット企業の本を、発行から12年も経って読むことの意味があるのか、と思いながら、少しだけページをめくって、そのあと、一気に読んでしまった。ちょっとサクセスストーリーすぎるが、草創期の熱気と、目指していた姿がよくわかる。
 今のGoogleでは、会社が大きすぎて、こういう本は、もう書けないだろう、と思う。

大阪ことば学:大阪弁のニュアンスも含め説明

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 大阪弁に関する本は多い。だが、その大半は、面白おかしく大阪弁を紹介している本がほとんどである。
 本書は、それらの本とは一線を画し、豊富な大阪弁の実例をもとに、大阪弁の表現に関して、説明している。
 この説明が中途半端ではない。表現のバリエーション、その表現のニュアンスを、標準語で解説している。大阪弁を使っている人間にとっても、その解説は、本当にうなづけるものなのである。

幼年期の終わり:クラークの最高傑作

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 ミニシリーズでTVドラマ化され、子供たちの姿が印象的であった。
 その番組を見て、久しぶりに再読した。クラークの数多い作品の中でも最高傑作であろう。これ以外に、何も言うことはない。

 へ~、TVドラマって、こんな風に作られていたんだ、特撮って、こんなに大変なんだ・・・。この手のことに知識のない私には、びっくりの話ばかりである。
 ウルトラQ、ウルトラマン、ウルトラセブン、そして泣いてたまるかのエピソードは、子供の頃にリアルタイムで見てきた人間には興味深い。どんな分野でも草創期というのは、熱気があるものである。本書でも、TVドラマ、特撮ドラマの草創期の熱気が感じられる。

海底牧場:珍しい海洋SF

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 クジラを放牧する海底牧場を舞台としたSF。魚資源の枯渇が心配される中、海の中での放牧というのは、現実の世界でも考えるべき内容のように思える。
 小説としては、クラークらしく淡々と進む。SFとしては、物足りない部分もあるが、海底牧場という設定だけで読ませてくれる。

ミレニアム3:3部作の最高傑作

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 も傑作であった。でも、本作は、その中でも最高傑作である。
 リスベットに関する公安警察の陰謀を、ミカエルをはじめとする狂卓の騎士たちが打ち破る、というストーリーだ。
 でも、公安警察のような権力に対し、人権を真じる人々が結束するというストーリーを書ける国がうらやましい。日本では、こういうストーリーは現実ばなれしているというように、一刀両断の評価になるのではないか。

 

 ミステリの女王アガサ・クリスティーの作品を、観光、田園、都市という観点と、アガサ・クリスティーの生涯の観点とから整理・解説した本。
 作品そのものについても、著者の評価が書かれていて、アガサ・クリスティーの作品紹介にもなっている。
 私は、アガサ・クリスティーが好きだが、ポアロもの以外はほとんど読んでいない。この本を読んで、マープルものも読んでみようか、という気にさせられた。スパイものに対する評価が低いが、スパイものを1作だけ読んだことがあるが、これには同感。
 英国の当時の情勢を知って読むと、さらに面白く読めそうだ。再読に耐えるミステリーというのは、それほどないが、アガサ・クリスティーの作品はその1つであり、本書で得た背景知識で、再読してみようかと思っている。

 前に感想を書いた鋼鉄都市の続編。今度の舞台は地球ではなく、惑星ソラリア。高度に発達したロボット社会で、人は家族単位ではなく、個人単位で生活している。映像によるコンタクト手段が発達しているため、人と人とが実際に会うことはほとんどなく、そのため実際に人と会うことが忌避されているという世界だ。この世界で、殺人事件が発生する。ソラリアには警察機関がないため、主人公が呼ばれ、捜査を開始する。
 ロボット3原則をベースにしたSFミステリなのだが、謎解きとソラリアの社会描写とがうまくマッチングしていて、心地よく小説の世界に浸れる。