キーボード並みの巨大チップ:米国人はスケールがでかい

 米スタートアップ企業、キーボード並みの巨大チップを発表の写真を見ただけで、ギョッとするだろう。この大きな銅板のようなものは、トランジスタ数が1兆2000億のチップだという。すごいなあ。実用で使うには、あらゆる困難があるので、試作にしかすぎないような気もするが、本当にすごい。米国の底力を感じる。

高機能なFPGAボードはFPA単体で買うよりも安い

 幅広い用途に対応したFPGAボード「Ultra96-V2」の真価に迫る! という記事を読んで、このボードに搭載されているFPGAの仕様のすごさとボードの小ささに感心した。これだけ高機能なFPAになると、AIとか画像処理とかの用途でないと使いこなせないだろう。私のように、Verilogでソースを書いて、というような程度では、全くおよびでない感じである。
 これだけ高性能なFPGAって、いったい、いくらするんだろうという下世話な興味で、Digiを調べてみたら、何と4万円以上。ボードの価格が29800円だから、単体でFPGAを買うとボードより高い。
 まあ、これだけ高機能なFPGAを1個だけ買うというようなケースはたぶんないだろうなあ。ちょっと買って、基板を作って、ちょっと試すというような気安く使えるようなデバイスではないし。

低温で動作しなかった試作品の思い出

 前回、-40℃で動くってすごい、という話を書いた。それには理由があって、若い頃、-15℃で動作させることができなかった経験があるのだ。
 PCなどでは、CPUを冷却することが重要なので、高温側のことを気にすることが多い。でも、低温側も、実は難しい。かつて勤務していた会社では、動作保証範囲に対し、15℃のマージンを要求していた。0~40℃という製品だったので、-15℃で動作させる必要がある。でも、これが動かないのだ。原因は、電源に入れた電解コンデンサの液が凍結して、インピーダンスが高くなり、電源が安定しなかったのである。使っていた電解コンデンサよりも、動作保証範囲が広くESRが小さいものを選び、再度試験をしたら、大丈夫だった。
 すぐにこのことがわかったのかというと、そんなことはない。技術者としてひよっこだった私は、どうすればいいのか、さっぱりわからなかったのである。先輩技術者に相談したところ、基板を一目見て、この電解コンデンサに冷却スプレイをかけてみろ、と言われた、常温で動作していた基板が、解コンデンサに冷却スプレイをかけるだけで、動作しなくなったのである。その時に、電解コンデンサの液が凍るという話を聞いたのだ。経験の差というのは大きい。
 この時、回路技術だけではモノ作りはできず、部品の特性をよく知ることが重要だということを知った。前に書いた部品知識の重要さにもつながる話だ。

ハードウエアハッカー:電子回路以外へも興味が広がる

 もの作りが好きだ。そのため、定年退職後は、回路設計を任せてくれそうな会社に転職した。久しぶりに、自分で全ての回路を設計し、明日、実装基板が到着する予定だ。
 そんな私にとって、ハードウェアハッカー ~新しいモノをつくる破壊と創造の冒険という本は刺激に満ちていた。優れた技術力というのは、好奇心と実行力から生まれるということが、よくわかる。
 単に電子回路を設計するだけでなく、深圳でのモノ作りを作業者と一緒に進め、プラスチック筐体の設計に手を出す。1つのものを作り上げるための情熱は、もの作りの原点だろう。