トランジスタ技術7月号の特集は「驚愕1万円測定器NanoVNA革命」:GHzまで計測できるネットワークアナライザが1万円で入手できるとは・・・

 トランジスタ技術7月号の特集は「驚愕1万円測定器NanoVNA革命」。NanoVNAとは、オープンソース・プロジェクトして公開されているベクトル・ネットワーク・アナライザで、1万円でGHzまで測定できるという驚きの計測器である。これで何ができるかを、特集している。個人で所有できるという前提で、こんなことができます、ということを、きっちりと教えてくれるというのはうれしい。当然、本誌らしく、そもそもネットワークアナライザとはどんな計測器なのか、という基礎の解説もある。高周波関連の技術を志す技術者に必須の特集だろう。

Interface 7月号の特集は「実機から仮想まで マイコン開発入門」:半導体不足で仮想環境の紹介

 Interface 7月号の特集は「実機から仮想まで マイコン開発入門。いつもなら、開発ボードでLチカの方法から始まるのだが、昨今の半導体不足が開発ボードにまで影響しているということで、仮想環境の紹介もある。とはいってもメインはボードだが。大変な状況だ。
 C言語の紹介もあるが、できれば、構造体までを解説して欲しかった。マイコンのレジスタをC言語でアクセスするのは、構造体を使うのが定石だからだ。
 長年連載されていた「パケットづくりではじめるネットワーク入門」がとうとう最終回である。ネットワーク技術の基本を学ぶのに面白いアプローチの連載だった。是非とも単行本化して欲しい。

孫正義の関心事

 孫正義氏の秘蔵っ子「ペッパー」が心配、鮮烈デビュー時と今の落差の記事に、ペッパーに関する扱いが一気に冷えているという話があった。ARM社買収の時の話も考えると、別に、驚くほどのことではない。儲かると思ったら持ち上げ、儲からないと思ったら捨てるというのがパターンなのだろう。でも、これは、経営者としては当たり前のことだ。最初に大きくぶち上げすぎるので目立つのだろう。
 でも、お願いだから、ARMのように、組み込み業界に手を出さないで欲しいものだ。組み込みは地味な業界なので、絶対に合わない。

Interface1月号の特集はステレオ画像の画像処理:立体視により画像処理アルゴリズムの効果を体感するという企画は斬新

 Interface 2022年 1月号の特集は「ステレオ画像の画像処理」。特集名が地味すぎてわかりにくいが、実は、画像処理の効果を立体視によって体感するという斬新な企画である。両眼視用のVRメガネやVRグラスを用意(100均グッズでも作れるらしい)を用意すればスマホでも試せる。
 百聞は一見にしかず、ということである。
 新年号の通例の通り、コンピュータ手帳が別冊で用意されている。

ザイログZ80伝説:製作記事だけでなくザイログの歴史も興味深い

 著者の同様の書籍モトローラ 6800伝説に関する感想を前のブログで書いたことがある。
 あの書籍は、製作意欲をそそる内容で、実際に6800の基板を組み立てて楽しむことができた。今回の書籍も、そうした製作記事もあるが、どちらかといえば、簡潔にまとめられていて、ザイログをめぐるマイコン史の方に力点か置かれている。
 Z80といえば、NECの名機PC8001に搭載されていたマイコンである。私は6800派だったので、8080には興味なかったのだが、DRAMのリフレッシュ回路を搭載したZ80には興味があった。PC8001を持っていたが、結局はBASICでしかプログラムを作らなかった。そのうちPC9801に移行して、Z80との接点はなくなった。
 そんな、あんまりZ80との接点はなかった私にとっては、製作記事よりも、マイコン史の方が興味深く読むことができた。本の中ではさりげなく書かれているが、Z80だけでなく、Z8000やZ8の基板まで製作するというのは、素晴らしい。例によって、部品を集める根性があれば、基板は入手できるので作ってみることはできる。

Interface12月号の特集は「大変革期の車載ネットワーク入門」:CANと100BASE-T1の解説がわかりやすい

 Interface 2021年 12月号 の特集は「大変革期の車載ネットワーク入門」。私は車載機器開発には経験したことはないが、ネットワーク技術としてのCANや100BASE-T1には興味があった。本号は、そのどちらもが取り上げられていて、しか解説がわかりやすい。なぜ、そういう設計になっているのかということまで含めて記載されているからだ。
 CANの標準とCANの方言に関する記述なども興味深い。

Interface 10月号の特集は「3Dプリンタ&メカ設計入門」:Interface誌でメカ設計とは・・・

 Interface 2021年 10 月号の特集は「3Dプリンタ&メカ設計入門」。3D CADの使い方の話も載っていて、いつもとは違う感じである。だが、組み込みの世界は、電子回路と組み込みソフトだけでは完成しない。クラウド連携よりも、組み込みに近いのがメカ系であることは確かだ。
 2D CADは図面を読み取る技能が必要だったが、3D CADなら、うまく使えれば、モノの形がわかりやすいので、組み込み屋がメカ設計にトライするなら、3D CADの方がいいかもしれない。ちょっと、トライしてみたくなった。
 第2特集は「C/C++でMicroPython拡張」。これは組み込みの話である。「STM32向けを流用して,ラズベリー・パイPicoとRZマイコンで試す」という記事は、自分が開発しているマイコン基板でMicroPythonを動かそうと言う時に役立つだろう。もっと大変なのだと思っていたのだが、この記事の中に「特定のマイコンでMicroPythonの仮想マシン機能を動作させるだけなら半日もあれば実装できる」とある。これも、ちょっとトライしてみたくなった。

Interface誌の特集は「ラズパイのマイコンPico攻略本」:連載記事を休載してまで大特集した力作

 Interface 2021年 8 月号の特集は「ラズパイのマイコンPico攻略本」。通常の連載を休載してまで特集記事に力を入れたという、驚きの特集である。
 中身は、それだけのことはある。マイコンの仕様、開発環境という定番だけでなく、USB機能、FreeRTOSにITRON、TensorFlow、MicroPythonと盛りだくさんである。プログラマブルI/Oという言葉だけではよくわからない機能も、このI/OでUART機能を実装する記事もあり、実際の使い方が理解できる。
 特に驚いたのは64倍オーバサンプリングと1ビットΔΣ変換をソフトウェア実装したというUSBオーディオDACである。基板が配布されるので、実際に試してみることもできる。

Interface7月号の特集は「IoTプロトタイプ製作入門」:入門というのがピッタリの特集

 Interface 2021年 7 月号の特集は、「IoTプロトタイプ製作入門」。第1部は、「まずはIoT基板を作ろうで、Lチカから始まって、小型液晶ディスプレイ、モータ駆動などを試す。使うマイコン基板がArduinoだったりラズパイだったりで少し統一性がないのが残念。あと、ブレッドボードということで、実体配線図がきれいに作れるFritzingを使っているのが少し疑問。この記事の規模ならいいが、もう少し本格的に、という時には、Fritzingはもの足りないと思う。
 第2部は、基礎知識編。部品やブレッドボードの基礎知識がまとまっているのは、入門としては、非常に参考になると思う。

マツダ 心を燃やす逆転の経営:メーカーの技術者必読の書

 私は、車には関心がない。トヨタの車を20年近く乗っている。それもこれも、車は動けばいいので、動いてくれているのでずっと乗っている。
 そんな私が、マツダ 心を燃やす逆転の経営という本を読んだ。久しぶりに良い本であった。経営の本なのだが、その大半は技術経営について語っている。しかも、業界で大手ではない企業の技術戦略である。
 その要点は、一括企画、コモンアーキテクチャ戦略である。この考え方は、組み込み機器でも通じる考え方だ。開発者も、開発費も少ない企業には、企画の方向性、技術の方向性が必要である。その方向に戦力を集中することで、やっと競合他社に勝てる。
 この本は、それを実践した中身が書かれている。ここまで、あからさまに書いて大丈夫かと思うほどだ。