簡単な回路だけどありがちな内容:昔の製品を検討もせずに部品を置き換えた製品

 壊れていない基板の修理は、面白い内容だ。題材の回路は簡単な回路である。フォトカプラの動作さえ把握していれば、すぐにわかるだろう。
 故障だと思ったら、回路設計の不備だったという話である。しかも、著者の推測によれば、TTL回路をそのままCMOSへ置き換えてしまったのだろうという。確かに、入力をオープンにしておくなど、CMOSではあってはならない話だ。でもTTLなら、オープンにした入力はHになる。もちろんノイズには弱いので、プルアップするのが定石だが、CMOSのように、入力をオープンにしたからラッチアップして故障するということはない。著者の推測通りだと思う。
 使っているフォトカプラの仕様もたぶん違っていたのだろう。フォトカプラとして最も重要な仕様であるCTRを満足していない設計などあり得ないからだ。それにしてもCTRが100~600%というのは、バラツキとしてはかなり大きい(50~600%というのもある)。とはいえ、それを考慮できていない設計というのはあり得ない。簡単な回路だからとバカにしてはいけない。