トランジスタ技術1月号の特集は「新生! Arduino Uno R4 本格派ルネサス版」:一気に32ビットマイコンを採用

 トランジスタ技術1月号の特集は「新生! Arduino Uno R4 本格派ルネサス版」。Arduinoの最新版であるArduino Uno R4のマイコンは、ルネサス社の32ビットマイコンRA4M1である。前バージョンのR3のマイコンが 8 ビット・マイコン ATmega328Pであったことを考えると、大幅な性能改善である。でも、Arduinoなので、従来のArduino Uno R3と互換性が高いらしい。
 本号の特集では、大幅に性能UPしたマイコンRA4M1で何ができるかがよくわかる構成になっている。しかも、Interface1月号の特集記事と同様に、AI生成での組み込みソフトウエアにも挑戦している。なかなか興味深い。

東芝とロームの協業に1300億円の補助金:大丈夫か?

 東芝とローム、EV向けパワー半導体で協業…経産省が最大1300億円補助 というニュースは、少し驚いた。パワー半導体なら、確かに日本勢が活躍できる余地はある。とはいえ、それに1300億円という巨額の補助金を出すというのは、驚きである。補助金を活用して、うまく産業が復活した話って、あまり聞いたことがない。TSMCの誘致だって、本当に、日本の半導体の復活に役に立つのか疑問だ。成果は、補助金を提案した役人の出世だけだった、ということにならないことを祈る。

無線給電技術

 せっかく通信は無線化できても、電源が無線化されなければ、本当の無線化にはならない。IoT機器では、電池で動くものが結構あるが、それでも、いつかは電池交換しなければならない。やはり、本命は無線給電だろう。

 東芝が5.7GHz帯マイクロ波給電システムを改良、5GHz帯Wi-Fiとの共存も可能には、そんな可能性を感じさせてくれる技術である。距離3mで100mW、距離10mで1mWの電力を給電することができた、とあるから、IoT機器くらいなら、これで駆動できるかもしれない。

Interface1月号の特集は「PCやスマホからマイコンI/O[Bluetooth&Wi-Fi]Pico W 」:ChatGPTを活用してラズパイPicoのソフトウエアを作る企画が秀逸

 Interface1月号の特集は、「PCやスマホからマイコンI/O[Bluetooth&Wi-Fi]Pico W 」。ラズパイPicoで、BluetoothやWiFiを使うという特集である。こういうオーソドックスな技術の話の中に、一風変わった特集がある。
 特設2 ChatGPTに相談,1人でPico/Pico W開発、である。ChatGPTを活用して、ラズパイPicoの組み込みソフトウエア開発をやってみる、という企画だ。Pythonあたりなら、学習データもたくさんあって、ChatGPTの活用も可能だろうけど、組み込みソフトウエアでも、可能だとは思わなかった。面白い試みだ。

ロームがラピステクノロジーを吸収合併:がんばって欲しい

 ロームがラピステクノロジーを吸収合併、2024年4月にらしい。100%子会社だったし、ラピステクノロジーの半導体は、ロームの半導体戦略とうまく整合しているように見えたので、それほど不思議ではない。むしろ、ラピステクノロジーという少し変わったブランド名よりもロームの方が商売もしやすいのかもしれない。日本の半導体メーカーとして頑張ってほしい。

ルネサス社の開発環境がVS-Code対応に

 ルネサス社のマイコンの全ラインアップに対応するMicrosoft Visual Studio Code(VS Code)向けの拡張機能を提供によると、「あの」ルネサスが、VS―Codeに対応したらしい。長年、自社の開発環境でやってきたが、そうはいなかい、ということなのだろう。マイコン単体でよりも、マイコンとPCとで何かシステムを作り上げるというようなことが多い。そうなると、開発環境が同じ方が楽である。VS-Codeが使いやすいかどうかは、わからない。個人的には、そんなに良い開発環境とも思えないが、共通化するということだけでも、大きな意味があるようにも思う。

秋月電子の2F

 前回紹介したトランジスタ技術9月号の記事で、秋月電子の2Fに売り場ができたことを知った。秋月電子は、電子工作好きなら誰もが知る電子部品の老舗だ。私も若い頃は、週に1回くらい立ち寄っていた。最近は、秋葉原そのものが、あまり面白いところでなくなったので、秋月電子に寄ることもなかったが、この暑さがおさまったら行ってみようかと思う。

トランジスタ技術9月号の特集は、「シン定番STM32ホープの実力!」:STM32の最新情報

 トランジスタ技術9月号の特集は、「シン定番STM32ホープの実力!」。STM32は、品種も多く、評価ボードも安価である。しかも、開発環境が共通ということで、非常に使いやすい。8ピンのSTM32から、高性能のSTM32H5まで、最近のSTM32マイコンに関して解説している。
 製作記事もユニークで、20mVステップUSB可変電源は、非常に興味深い。

簡単な回路構成で電子機器内の温度上昇が検出な過熱監視IC

 毎日、本当に暑い。暑さに弱いのは、人間だけでなく電子機器も同様である。サーバーなら、エアコンが効いた専用の部屋に設置される。でも、そんな機器だけではない。暑い時には、自分で警告をあげるようにしておくのがいいだろう。とはいっても、温度センサーは意外に高価である。PTCサーミスターと組み合わせるだけの回路構成で電子機器内の温度上昇が検出な過熱監視IC Thermoflaggerは、本当に簡単な回路で電子機器内の温度上昇を検出できる。ちょっと大事な機器なのだが、設置場所の空調は期待できないというときに、これを使って、せめて温度上昇を警告できるようにしたらどうだろう。

トランジスタ技術8月号の特集は「研究! 1万円級ポケット測定器」:個人で測定器を所有できる時代

 トランジスタ技術8月号の特集は、研究! 1万円級ポケット測定器。組み込みソフトウエアは、評価基板さえ購入すれば、あとは全て無料で開発環境を揃えられるという時代になっている。一方、ハードウエアはそうはいかない。数千円で購入できるのは、テスタぐらいだが、それでは、ハードウエアの開発は難しい。せめてオシロスコープは必須である。そのオシロスコープが、1万円台で購入できる時代がきた。その1万円台の計測器の実力を特集している。オシロスコープが特集の中心ではあるが、スペアナとかネットワークアナライザとか、こんなものまで個人で購入できる時代になったのかと思うとびっくりである。当然、安価なので制約はあるが、その制約を含めて、こう使えるという内容になっている。