GPSへのジャミング

  欧州委員長が乗った飛行機「ジャミング」被害、GPS作動せず…ロシアによる妨害かは、結構恐ろしい話である。今や生活の基盤となってしまっているGPSだが、その技術は、人工衛星からの電波に基づくものである以上、この電波を妨害するジャミングは有効である。
 昔からジャミングというのはやっていて、ラジオの短波放送にジャミングをかけるということを、旧社会主義国ではよくやっていた。海外からの情報を遮断したいという事情によるものだろう。
 とはいえ、ラジオ放送ならともかく、GPSをジャミングをするというのは、どうなんだろう?そして、ジャミングされるかもしれないGPS信号による測距情報を基に、自動車の自動運転というのは、危険ではないかという気もする。

シリアル通信の良い教科書がない

 前回、今でも現場ではRS485などのシリアル通信が使われているということを書いた。ところが、そのシリアル通信の技術をきっちり理解するための教科書がない。LANが普及する前は、シリアル通信が組み込み機器の中心だったので、いろんな本が出ていたのだが、今では絶滅である。Interface誌とかトランジスタ技術誌とかでも、AIの特集はあっても、今さらシリアル通信の特集はしないだろう。
 でも、当然、シリアル通信がレガシー技術だからと言って、簡単な技術であるわけはない。

今でも現役のRS485

 前回、ネットワークではなく、1対1の通信の場合、今でもRS232Cのようなレガシーな通信が使われているということを書いた。
 実際には、1対1でもLANを使う場合が増えている。だが、その場合に問題になるのが通信距離である。LANなので、最大距離が100mになる。これが1kmとかの距離になれば、光に変換して光ファイバーで接続するこいうことになる。
 ところが、組み込み機器の場合、200mとかの距離になることが結構ある。まあ、それでも光を使えばいいのだが、ちょっと大げさだ。間にHUBを入れるという解決方法もあるが、HUBを入れるための電源が確保できないことも多い。
 そんなとき、LANではなく、RS485を使っていれば、200mくらい簡単に通信できるので、この程度の通信距離が必要になることが多いが、通信速度がそんなに必要のない用途だと、今でもRS485が使われる。
 RS485は、本当に古い通信方式なのだが、本当に優秀である。

今でも現役のRS232C

 前回Interface10月号の特集記事「Pythonで1行ずつ学ぶネットワーク」を紹介した。組み込み技術においても、ネットワークの重要性は増すばかりである。だが、一方で、ネットワークとしては使わないが、機器との通信が必要な場合がある。そんな用途では、今でもRS232CとかRS485といったレガシーな通信が使われている。大抵の場合、そういう機器は、機器ごとにキャラクターベースのコマンド体系が決まっていて、それで通信することが多い。デファクトとまではいかないが、Modbusという通信方式が使われる場合もある。今でもRS-232CのModbus RTU/ASCIIをModbus TCPに相互変換するゲートウェイ SI-232MBなどという新製品が出るくらいだ。

Interface10月号の特集は「Pythonで1行ずつ学ぶネットワーク」:幅広くネットワーク技術を学べる特集

 Interface10月号の特集は「Pythonで1行ずつ学ぶネットワーク」。本誌のイントロダクションで述べられているように、ネットワークの重要性は増すばかりである。ネットワークを学ぶためにC言語を使うのはなかなかハードルが高い。必要なプログラミングのレベルが高いからだ。そういう意味では、本誌のようにPYTHONで学ぶというのは、ネットワークを学ぶためには効率的だろう。まったくのPYTHONの初心者では難しいが、C言語による入門よりは、かなりハードルが低い。
 第1部では、TCP、UDPという基本中の基本が学べる。さらに、組み込み技術者として重要なIoTでよく使われるプロトコルとして、MQTTが第2部、Matterが第4部で紹介される。ネットワークでは、実際に流れているパケットをキャプチャし解析することが重要だが、そのためのデファクトツールである Wiresharkについても紹介されている。
ハードウエアに興味がある技術者にとっては、第3部の10BASE-T1S技術の解説は興味深いだろう。

トランジスタ技術9月号の特集は「プロのオーディオ回路設計ノウハウ」:今でもオーディオは回路設計者の腕の見せ所だ

 トランジスタ技術9月号の特集は、「プロのオーディオ回路設計ノウハウ」と「必見!回路シミュレーションの新常識」。オーディオ回路は、今でも回路設計者の腕の見せ所がある分野である。ほとんどがデジタル化したとはいえ、人間の耳にはデジタル信号は聞き取れない。アナログ回路が必須である。しかも、ほとんどの回路がデジタル化することで、デジタルノイズがどこから混入するかわからないので、本当に腕の見せ所である。

横浜の花火の事故:コンピュータ制御はあてにならないことがある

 横浜の花火台船火災、システム操作も打ち上げ停止せずは、一歩間違えば大惨事になるような事故だった。最近の花火は高度化していて、打ち上げをコンピュータ制御しているらしい。当然、異常時には打ち上げを停止させる緊急スイッチがあっただろうと推測するが、それがうまくいかなかったらしい。
 打ち上げ停止をコンピュータ制御でやっていたとしたら、問題だろう。危険度が高いシステムの停止は、単純で故障しない、万が一故障しても、打ち上げ停止側になるような設計が重要なはずである。

SBOMの普及率は低い:そりゃそうだろうなあ

 国内製造業でSBOM導入済みは7%にとどまる、79%は導入予定なしという記事を読んだ。まあ、そんなものかもしれない。そもそも製造業というのは、ソフトウエアに対する理解がない。そんな状況で、SBOMという話をしても、導入しようという気にはならないだろう。最もやりたくないのは、たぶん、開発者自身だ。ただでさえ、納期に追われているのに、SBOMなんていう余分な仕事までやってられない、と思っているに違いない。

Interface9月号の特集は「モータ制御プログラミング入門」:モータ制御に関する入門の決定版かも

 Interface9月号の特集は「モータ制御プログラミング入門」。なんといってもモータ制御は組み込み技術の正統派である。対象であるモータの物理的特性の理解、どう制御するかというアプリケーション仕様に関する理解、そのために必要な制御方式とその実装技術。どれを欠いても製品にはならない。
 本誌では、「まずは制御対象を知るところから!使い方や出力特性を見てみる 写真と構造で見る…モータの種類と特徴」という解説記事がある。これによって、対象物のモータの物理的特性を理解することができる。あとは、本誌お得意の製作記事である。倒立振り子という定番を含め、しっかりとまとめられている。
 特集記事以外では、「排他制御なしに使えるリング・バッファbbqueue」が参考になった。リング・バッファは、いろんな用途で使う汎用ソフト部品である。下手に自作するのではなく、信頼性のあるソフト部品を使いたいものだ。

トランジスタ技術8月号の特集は「特別企画 夏の回路製作大集合」:よくも思いついたという製作例が満載

 トランジスタ技術8月号の特集は、「特別企画 夏の回路製作大集合」。本誌お得意の製作記事である。単にマイコンボードを用意したらできるというものではなく、電子工作以外の工作のスキルが必要な製作例が満載である。「クラフト・ビール対応!温度調整ビア・クーラの製作」なんて、自分も作ろうというようなものではなく、よくもまあこんなことを思いつくなあ、という製作例である。
 私が驚いたのは、「気象&GPS表示付き蛍光管VFD時計の製作」だ。なつかしの蛍光管を使った製作だ。今でも蛍光管が入手できる。それどころか結構人気があるというのは、初めて知った。