Interface 2月号の特集は「組み込みコンピュータ技術512」:本誌お得意の事典記事

 Interface 2020年 02 月号の特集は、「組み込みコンピュータ技術512」。本号でInterface誌は、通巻512号らしい。512号というコンピュータ技術者以外にとっては中途半端な号数で記念号を発行するあたりが、本誌らしい。しかも、記念のTシャツまで作るようだ。
 それはともかく、本号は、コンピュータ256とデバイス256に大きく分割し、それぞれの分野で、基本電子部品16のように、事典形式で基本的な技術を紹介している。本誌お得意の記事であり、組み込み技術を満遍なくカバーしている。じっくり勉強するというよりは、少し時間のあるときに眺めて、技術分野を広げるという使い方に最適だと思う。

0.25mm×0.125mmで0.1μFの積層セラミックコンデンサー:パスコンがまた微細化する-手付けできないよなあ、どう考えても

 0.25mm×0.125mmで0.1μFの積層セラミックコンデンサー、村田製作所が開発という記事を見て思ったのは、パスコンが、また微細化するということだ。
 モバイル機器の開発では、部品の微細化は重要だ。だが私が設計している産業用の機器では、微細化は特に必要ない。といっても、さすがにリード部品は使わない。
 そうなると、部品の主流は、数が多いモバイル用途に引きずられ、どんどん微細化が進むと言うことになってしまう。現場としては、1608あたりのサイズが、手付けで実装もできるので、うれしいのだが、パスコンで多用する0.1μFは、今や1608は生産中止になったメーカーが多い。しかたなく1005を使って設計している。まあ、1005でも、手付けできる範囲なので、まあいいのだが。だが、これ以上、微細化が進むと、手付けできなくなる。見えなくなるかもしれない。
 機械でしかハンダ付けできないとなると、中小企業の電子屋さんは失業である。まあ、今でも、生基板に部品を自分でハンダ付けするという機会はなくなった。でも、どうしてもリワークが必要な時に、手付けできるサイズか否かは開発者にとって死活問題だ。

2019年Q2の半導体売上高ランキング、ソニーが9位に:特徴のある製品があれば日本企業もまだ世界で通用する

 2019年Q2の半導体売上高ランキング、ソニーが9位にという記事は、いつもソニーと対比されるパナソニックが半導体部門を見捨てたのと対照的な話である。これを牽引したのはCMOSイメージセンサーだ。映像技術がなくなれば、白物家電を持たないソニーは成り立たない。だから、自社消費も含め、技術開発を続けているのだろう。

パナソニックの半導体事業の歴史:電機メーカーの半導体部門は社内需要頼りだったのが、・・・

 UniPhier、有機CMOS、ReRAM……売却されたパナソニック半導体のこれまでという記事は、日本の半導体事情が端的にわかる記事だ。
 そもそも、日本には、半導体専業メーカーというのは存在しなかった。ルネサスも、もともとは日立と三菱の半導体事業を、よく言えばスピンオフ、悪く言えば追い出して作った会社だった。
 電機メーカーにとって、自社製品のコア技術が半導体だった時期があったのだ。パナソニックのUniPhierはその象徴で、同社の基幹事業であったTV事業のコア技術として開発された半導体だった。でも、周知の通り、今やパナソニックのTV事業には、昔の輝きはない。こうなると、電機メーカーが半導体部門を抱えておくメリットが全くなくなるのだろう。かなりの会社が、半導体部門を売却した。電機メーカーの事業に貢献できる半導体部門というのは、SONYのカメラ用半導体くらいではないだろうか?そのSONYだって、昔はプレステ用の半導体を内作していたが、今では、他社から購入しているようだし。
 結局、半導体のように、膨大な開発費がかかる技術をかかえこんで、自社の強みにできるだけの事業をやれるメーカーが日本にはなくなってしまった、ということなのだろう。

Interface1月号の特集は「定番ESP32マイコン技術百科」:本誌お得意の情報満載

 Interface 2020年 01 月号の特集は、「定番ESP32マイコン技術百科」。こんなにいろんなボード、いろんなモジュール、いろんなライブラリー、いろんな開発環境、いろんなOSが対応しているのか、とびっくりする。ESP32マイコンは、格安Wi-Fiモジュールのマイコンとして有名でありながら、マイコンそのものの実力が語られることは少ない。こうした情報に加え、プログラム実行速度やメモリ読み書き速度の記事もあり、ESP32をマイコンとしてつかって見ようという時に参考になる情報が満載である。

スマート・スピーカーが盗聴装置に

 スマート・スピーカー向け「盗聴」アプリ、審査を通過していたという記事は、まあ、あるだろうなあ、という話題だ。実際に盗聴アプリが見つかったというわけではないが、研究者が作った盗聴アプリを仕込んだアプリを審査にかけてみたら通ってしまった、という話である。
 つまり、審査過程でこうした盗聴機能が見つからない場合が多く、実際に、そうしたアプリが既に存在するかもしれないのだ。
 私は、前から、スマート・スピーカーという名前は、機器の実態を表しておらず、実体は、スマートマイクだ、ということを書いてきた。やはりそうだったのである。
 よほど信頼できるアプリ以外は使ってはいけないことを示している。

サムソンも独自CPUコア開発を中止:さすがに独自コア開発の時代ではないんだろうなあ

 システム半導体世界一目指すサムスンが独自CPUコアを断念した理由という記事を読んで思いだしたのが、ルネサスがArmへ大きく舵を切った件である。
 たぶん、CPUコアだけ考えれば、半導体メーかーであれば、独自で作ることはできるだろう。でも、実際には、ソフトウエアや、今ではAIがらみのツールや、そういった開発環境込みでないと、全く使えない時代である。独自コアのハードウエアは作れても、意味はない。
 私のような組み込み技術者ですら、組み込みマイコンのCPUコアには、業務では、ほとんど興味はない。RISC-Vとか、個人的な技術的興味はある。でも、仕事で組み込みマイコンを選択するときに検討するのは、コスト、ROM/RAMサイズ、SPIなどの周辺回路、開発環境である。なので、今、業務で使っているのは、PICの32ビットマイコンだ。CPUコアはMIPSで、デファクトのARMではない。でも、そんなことは気にしていない。開発はC言語で、コンパイラさえまともなら、それでOKだからだ。そういう意味では、本当に、ソフトウエアの時代になったんだなあ、と実感する。

74シリーズでの設計:ドモルガンの定理とカルノー図法

 前回トランジスタ技術の最新号の感想を書いた。74シリーズということで、思わず、最新号を買ってしまった話である。その昔、デジタル回路を設計すること=74シリーズを使うこと、であった。
 74シリーズには、AND、OR、NOTなどの基本的な論理回路が用意されている。逆に言えば、それしか用意されていない。現実の設計では、複雑な論理式を実装しなければいけないことがある。その時に、74シリーズで提供されている論理だけで実装できるようにするのに活躍したのが、ドモルガンの定理である。
 これを使えば、一応、動くモノは作れる。でも、使うチップの数を減らしたいので、もっと工夫したい。その時に使う手法がカルノー図法である。今さら、こんなものを、設計の現場で使っている技術者はほとんどいないだろうけど。
 これらの論理式を複数用意し、NOTは7404で、NANDは7400で、と実際のチップに割り振る。7404は、1パッケージに6回路、7400は4個入っているので、その数を数える。NOTが7個、NANDが3個必要となると、そのまま対応させると、7404が2個、7400が1個必要だ。だが、NANDは入力をショートさせるとNOTとして使える。そういう工夫をすれば、7404を1個、7400を1個で済ますことができる。
 ハードウエア記述言語を使えば、そのまま論理式を書けることを、人間が頑張ってやった時代があった、という単なる思い出話である。

トランジスタ技術12月号の特集は「74ロジックで超入門!」:今さら74シリーズとは・・・。でも懐かしい

 トランジスタ技術 2019年 12 月号の特集は、「74ロジックで超入門 FPGA×RISC-V開発DVD」。74ロジックというのは、昔のデジタル技術者であれば、必ず使ったであろうロジックICのデファクトスタンダードである。昔のデジタル技術者であった私は、主要な品番は今でも覚えているし、中には、ピン配置まで覚えているモノもある。
 この時代に、74シリーズでロジック回路を入門するというのは、さすがに時代錯誤だろうと思ったが、昔のデジタル技術者である私は、懐かしさのあまり、本屋で特集名を見ただけで、中身も立ち読みせず、そのまま買ってしまった。
 記事を読んで思ったのだが、言語による設計は、自由度が高すぎて、何をどうすればいいかわからない。その点、74シリーズというよく使われるロジックブロックで設計する方が、実はわかりやすいのかもしれない。このあたりは、さすがに初心者ではない私にはよくわからない。
 DVDには、74シリーズの規格表も収録されている(紙の本をスキャンしたようで、見づらいのが欠点だが)。この規格表ではないが、74シリーズの製造元であったTIのデータシートはよくできていて、トランジスタの等価回路も掲載されていた。デジタル出身の私は、このデータシートの等価回路を見て、トランジスタ回路を勉強したものだった。

電池はエネルギーが蓄積されているので危険ということを啓蒙すべき

 リチウムイオン電池搭載製品の廃棄で火災発生、NITEが注意喚起を読んで、電池を可燃ゴミで捨てるバカがいることを知った。リチウムイオン電池は特に危険なだけで、電池一般は、絶対に可燃ゴミで捨ててはいけない。電子工作で言うと、電池をハンダ付けするのも危険きわまりない。
 電池は日常に存在する。そして通常は危険性はない。それは、エネルギーを蓄積している電池というものを安全に使えるようにしているというだけで、間違った使い方をすると、そのエネルギーが放たれる。昔、リチウムイオン電池の信頼性試験で爆発する動画を見たことがある。本当に危険なのである。