ソースコードから要件定義

 突然のマイコンEOL…… 置き換えの難所「要件定義」を2週間で代行は、驚きの内容だ。今まで製品で使っていたマイコンが突然EOLになる。よくある話だ。現場には大迷惑なので、メーカーは、EOLには慎重になってほしいが。
 とはいえ、そうなった時のサービスを開始したという。少し引用する。

客が既存のソースコードを用意すると、ミラクシアは「マイコン置き換え開発計画書」「マイコン書き換え資源割当設計書」「マイコン推奨品種提案書」の3種類のドキュメントを2週間以内に納品する。

 本当にこんなことが可能なのだろうか?本当にできるとすれば、びっくりだ。

スポックがAlteraの広告に?

 レナード・ニモイがAlteraのCPLDを隆盛に導いた!? Xilinxとの競合も始まるのエピソードは面白い。なんと、Alteraの広告にレナード・ニモイが出たことがあるらしい。レナード・ニモイといえば、スタートレックのスポック役で有名な役者だ。電子回路設計者にもスタートレックのファンは多かったはずで(私もその一人だが)、なかなか面白いエピソードだ。

組み込み機器特有の供給問題

 組み込み機器の使用期間は長いものが多い。かつ、故障しても修理して使うような機器もある。そうなると、組み込み機器に使われているデバイスの供給期間が問題になる。STマイクロエレクトロニクス、車載用マイコンSPC58ファミリの長期製品供給保証を20年間に延長は、そんな要望に対応するということだ。まあ、車載用だからこそできることなのかもしれないが、そうではない一般のマイコンでも20年とはいわないが、15年程度の供給保証はしてほしい。

日本はいつまで組み込み技術者を養成できるのか?

 20年でCPUコアの巨人にのし上がった「Cortex-M」という記事は、前の方は確かにCortex-Mの歴史が振り返られていて、おもしろいのだが、後ろの方で、違う話も含まれている。
 今の組み込みは、昔に比べて、必要とされている知識が増えているという筆者の感想である。確かに、私の時代は、組み込みをやる以上、アセンブラを使えることは必須であった。開発がC言語になっても、C言語のソースコードでブレイクできず、コンパイル結果を見ながら、アセンブラレベルでブレークをかけたりという時代もあった。
 一貫して、マイコンを使いこなすという技術が求められていた。でも、今では、クラウドであったり、AIであったり、マイコンだけではない知識も必要となっている。筆者と同じように「いつまで日本の企業はこうしたエンジニアを擁して組み込みシステムの開発を続けられるのだろう?」という疑問がある。

昔DSPを使った話

 ロングランの本格DSP、TI「TMS320」登場に至る長い道のりという記事を読んで、昔の開発を思い出した。TIのDSPを使ったことはないのだが、この記事の中に出てくるμPD7720というDSPは使ったことがある。この記事によるとモデムで使われたらしいが、私が開発したのは全く異なる用途であった。ある計測値を基に補正計算をしなければならないのだが、その計算を一定時間で終わらせる必要があるという、まあ、組み込みらしい内容だ。その計算が、基本的には、積和演算で実行できるので、DSPを使うことにした。今から30以上前のことだ。
 当然、開発はアセンブラである。8080とか6800などの、いわゆるマイコンとはかなり異なる命令体系であり、いろんなテクニックを駆使しないと要求時間内に処理を終わらせることができない。たしか100ステップくらいの開発に1か月以上かかっている。命令体系の理解とか、開発環境になれることとかの準備にプラス2か月必要だった。
 でも、いわゆるマイコン以外のソフト開発でも開発できるという自信がついた開発であった。

組み込みソフトウエア技術者が困惑すること

 ソフト設計者が現場で困惑する機械屋からの追加要望は、組み込み技術者ならだれもが経験したことがあるだろう。相手は機械屋だけでなく、回路屋だったりもする。要は、ソフトウエア関係者以外の技術者からの対応である。そして、この記事の中で書かれているが、「これぐらいササッと対応できるでしょ?」というのも、よくある話である。まあ、PC上で仕事をしているので、ササッとできるように思えるのだろう。

ホンダの関西拠点:10年後になくならなければいいが

 ホンダが大阪の電機人材に的、人員5倍計画は、関西の電機業界の不振を反映したような話である。関西で引き続き働きたいいベテラン技術者にとっては、いい話のように思える。
 でも、である。本社がない会社の開発拠点というのは、いつなくなっても仕方ない、ということを理解して転職する必要がある。
 私自身は、関西の大手電機メーカーの東京の開発拠点で仕事をしていた。東京にも拠点を作るんだということで、大阪出身の私が東京へ転勤して作った拠点である。でも、実際には、10年ほどで、当初の目的が終わり、その後は、常にリストラの対象であった。どんどん縮小したのである。
 ソフトウエアというのは、進化の激しい領域だ。今は、技術者が必要ということで、関西拠点をしっかり作っていこうと思っているのだろうが、10年後はわからない。
 問題は、ベテラン技術者が10年後にリストラにあった時には、転職活動が極めて難しくなるという事実である。まあ、今や、どこにいても、そんなものだろうから、今回の話だけではないだろうけど。

トランジスタ技術10月号の特集は「今マイコンはArduinoが最強説」:確かに組み込みマイコンの勉強にならArduinoはいいかも

 トランジスタ技術10月号の特集は「今マイコンはArduinoが最強説」。マイコンボードといえばラズパイという風潮のなか、今さらArduino?という感じもあるが、特集を読む限り、確かにArduinoも悪くないか、とも思う。
 ラズパイはLinuxなので、マイコンボードといっても組み込みマイコンらしくない。その点、Arduinoは、Arduino IDEという開発環境を使ってクロス開発をする純粋の組み込みマイコンボードだ。組み込みLinuxを使えるという恵まれたマイコン開発者でない限り、Arduinoのようなリッチではないマイコンで勉強する方がいいように思う。開発環境が整っているので、環境構築という最初の関所もクリアできる。ただまあ、本書の記事にあるように、組み込みソフト開発に慣れてきたら「シンプルすぎるArduino IDEからの卒業!」は必要かもしれないが。
 製作記事は、あいかわらず力が入っている。有機ガス検出器なんて、たぶん本誌でしか読めないだろう。