地団駄は島根で踏め:語源を訪ねるという誰もやらないであろう旅

 「地団駄は島根で踏め」という題名は本当にひきのある題名である。
 地団駄のような語源を訪ねて実際にそこへ旅する、という旅のルポである。語源を訪ねて旅をするということを思いついた時点で、この本が面白いということは約束されていたようなものである。そして、実際に期待を裏切らない内容になっている。
 訪ねた場所は、何と23箇所。よくもまあ、こんなにあるものだ。少し紹介すると、急がば回れ(滋賀県・草津市)、ごたごた(神奈川県・鎌倉市)、らちがあかない(京都府・京都市)。行くだけでも大変だ。
 語源に関係する場所を実際に訪ねるだけでなく、旅の中で、その語源に関係のあるお土産まで紹介するという親切さである。こうしたちょっとした寄り道が、この本のおもしろさに、さらに花を添えている(花を添える、の語源て何なんだろう?)。