2014年11月アーカイブ

 他のプログでも書いたことがあるのだが、私は本当に英語が苦手だ。だから避けて通れればいいのだが、そうはいかない。いつもは、英語のドキュメントを読めれば済むのだが、たまに英語で話をしなければならないことがある。その都度、少しは勉強しなければ、と思う。
 今、思っているのが、たぶん基礎がなっていないまま、受験英語で積み上げ、海外文献読破で積み上げた英語力は、伸び悩むのだと思っている。基礎は、文法、語彙力、そして発音である。私の場合、最も不足しているのは発音である。発音できないものは聴き取れないという原則で、発音ができていないので、リスニングもできないのだ。わかってはいるのだが、なかなか練習の機会がなかった。英語学校へ通えばいいのだろうが、そうでなければ、正しい発音を勉強するのが難しいのである。
 本書は、DVDで正しい発音を見ることができるという教材である。しかも、説明がうまい。最初のページにある、日本語のアの音に近い英語の母音は8個ある、というところだけでも衝撃だ。こんなこともわかっていなかったのである。母音というのは、声が舌、歯、唇などにじゃまされないで出る音のことだ、というのも初めてしった。
 中高年になってからではなく、もっと若い頃にこの本に出会っていたら、もう少し、正しい発音ができたのではないか、と思ってしまう。中高年になってからでは、結局、8個のアが本当に正しく発音でき、正しく聞き分けられるようになるかは、少し疑問である。だが、少しづつ継続しようという決心だけはしている。

 

 日経サイエンスが好きで、毎月読んでいる。だが、正直、素粒子理論などの最新物理学は難しすぎてよくわからないし、そもそも自分の日常とあまりにも違いすぎて興味を持てないことも多い。
 この物理の散歩道は、今はなき科学雑誌「自然」に連載されていた記事を単行本化したものをさらに文庫本化した本である。最も古い記事の初出が1961年というから本当に古い内容である。物理学を題材にしている本で、こんなに古いものは価値がないかというとそうではない。素粒子理論などの最新物理学を扱っているわけではないからである。基本的には、我々の見える世界、ニュートン力学(古典物理学)が扱う範囲の物理学を扱っている。こういう話題を扱っている記事は、実は最近あまりなく、貴重な内容である。こうした事情を端的に表現した内容が、解説にあったので、少し長いが引用してみる。

 日本の大学では、ロゲルギスト(この本の筆者の名前)の世代までは古典物理学を維持してきた。それが最近では-少なくとも理学部においては-雪崩を打って量子に傾いている。ほとんど古典物理学の痕跡はなくなってしまっただろう。これは由々しきことではあるまいか?
 というのは、実験の方面では、最終的には人が関わる以上、古典物理的な要素は欠かせないからである。工学と人の関わりは言うまでもなく、その基礎として古典物理学は重要である。「なくなった」というのは、だから光学とか流体力学とかいった古典物理学を専門とする部門がなくなったということだ。古典物理学が研究しつくされて問題がなくなったということではない。

 大学というのは、論文にならない研究はできないところである。でも、世の中には、論文にならない問題が多く残っている。この本が、いつまでも読めるということは、逆にいえばこうした題材を扱える研究者がいなくなったということに他ならない。まあ、工学系の先生に残っていればいいのかもしれないが。

 

 海外旅行に関する本は多い。ところが、その大半は、個人旅行に関するガイドである。ツアーは、選んでしまえば、そのまま連れて行ってもらうだけだ、という考えなのか、ツアーに関する海外旅行術を書いた本は意外にない。この本は、その意外にないツアーに関する本である。
 だが、ツアーに関する旅行術だけで1冊の本になりにくいのか、この本の半分以上は、筆者が参加したツアーの体験記である。旅行術だけを読みたい読者はあてが外れるが、私はツアーと言ってもいろいろあるのだということを実感するのにいい内容であった。

 

 この本は、1975年~2012年という長い期間に、塩野七生が発表した文章ではあるが、今まで本に入っていない文章を集めた本である。だが、「読者に」という前書きにあるように、依頼に応じてどこにでも書くというタイプの著者ではないので、1つ1つの文章はそれなりに面白い。書かれている文章は、分野が多岐に渡るので、全てが面白いわけではないが、こういう本は、別に全てを通して読むべき本でもなく、題名を見て面白そうなものを読めばいい。
 さすがに塩野七生である。こんなに長い間に書かれた文章であるのに、時事を扱った話題でなければ、いつ書いた文章なのか判別がつかない。どれもが骨太の塩野七生なのである。へ~と思った箇所を1つだけ引用してみる。

 私の考えでは、国家ないし民族は、大別すれば二種に分類できるのではないかと思う。
 第一種は、あらゆる手はつくしたにかかわらず、衰退を免れることはできなかった国家。俗に言えば、天寿をまっとうしたと言える国家である。古代のローマ、中世のヴェネツィアは、私の考えではこの種に属す。
 第二種は、持てる力を活用しきれなかったがゆえに衰退してしまった国家だから、天寿をまっとうしたとは言えない夭折組に属す。その典型は、古代ギリシアのアテネと中世のフィレンツェだろう。

 こういったさまざまな視点がイタリア文明のみならず人物や映画など様々な分野に対して書かれている。驚くほど多彩な内容の本である。

 

 探偵フィリップ・マーロウといえば、レイモンド・チャンドラーが創造した有名な探偵である。「高い窓」はその長編の3作目である。「大いなる眠り」「さらば愛しき女よ」「かわいい女」「長いお別れ」「プレイバック」といった作品(そうそうたる作品が並ぶことに驚かされる)に比べるとそれほど有名な作品ではない。
 実際に、読後感も他の有名な作品に比べると少し物足りない部分がある。フィリップ・マーロウものの特徴の1つは、登場人物とフィリップ・マーロウとの関わり合いの面白さである。本作品はその部分が少し物足りないのである。

 

前作の「二流小説家」に関する感想を前に書いたが、本書もさすがに同じ作者と思わせる作品である。ストーリーを追う本ではない。本書の中で繰り返される主人公の愚痴とか、サブカルチャーに関する薀蓄とか、妙な脇役との会話を楽しむ本である。
前作と同じく、結末あたりの部分は少し無理がある感じがする。まあ、ストーリーを楽しむ小説ではないので、そのあたりの無理は許せる範囲ではある。

 

メインストーリー自体はミステリー小説としては平凡な出来であろう。
だが休日の日にだらだらと暇つぶしに読む本としては、私には面白かった。この小説の中はメインストーリーとは別に主人公の書いた二流小説が散りばめられている。この二流小説がいかにも二流小説なのである。この二流小説をいかにも二流小説だと思いながら面白がれる人であれば、休日の暇つぶしには最適な本になるであろう。それがミステリー小説の楽しみ方なのかどうかは別ではある。
さらに、この小説を原作に、日本で映画が作られるとは思ってもみなかった。この小説の面白さは、ストーリーでも会話でもなく、主人公の書く二流小説なので、いくらなんでも映画には向かないと思うのだが、世間の評価は異なるようである。

 

 本書の解説でも指摘されているように、この世界観で3部作くらい書けるくらいの圧倒的な世界観である。
 本書の裏表紙の紹介に出てくる、「プリンス」、「少年ケムリ」という言葉からは、ヤングアダルト向けの本のようだが、実際には、良質のスペースオペラに仕上がっている。
 ここまで圧倒的な世界観であると、その世界観に慣れるまでに時間がかかるのが通常なのだが、本書ではそこがスムーズにいく仕掛けになっている。そもそも主人公が、いきなり新しい世界へ飛び込むという設定である。主人公の指南役にベテランの「奉仕者」が仕えるということで、主人公がそのベテランに教えを乞う形で読者自身も新しい世界へ徐々に入り込んでいけるようになっている。
 一旦その世界の設定を理解したら、そのストーリーの素晴らしさに一気に読んでしまうことになる。まさに良質のスペースオペラである。ただ終盤の内容は、少しひねりが足らず、ものたりない。本当は続編を期待したいところなのだが、解説によれば筆者は続編を書く気がないという。

 

 東海林さだおのエッセイは本当に面白い。この本も面白い。
 この本のエッセンスが、表紙のイラストに集約されている。本書のメインは、立ち食いそばのメニューを全て制覇すると言う内容である。なんと6回に分けてその内容は紹介されている。さらにはそのメニューを全制覇しようとした立ち食いそばの社長との対談まで掲載されている。
 最初の回に、立ち食いそばの正しい食べ方と言うイラストが載っていて、そのイラストのコメントを省いた部分が表紙のイラストなのである。ちなみに本文の中のイラストのコメントを少し引用してみよう。

  • 背中に哀愁が漂うようになれば一人前
  • 表情は「憮然」とが正しい
  • 箸の先で丼を引き寄せる
  • ジャンパーのたぐいが似合う
  • 靴底を見せる
  • 左ひじをカウンターにつける人が多いがむしろポケットの方が小粋に見える

 

 さすが東海林さだおだ。観察の鋭さ指摘の的確さに思わず笑ってしまう。この後、延々と続くそれぞれのメニューに対する感想や思い入れも、例によって独特の表現で書かれている。
 本書では、この立ち食いそばに関する話題以外に、2日間で駅弁を24個食べるという馬鹿げた試みについても書かれている。いずれも抱腹絶倒だ。

 

 このブログは、中年の電子機器関係のソフトウエア技術者が読んだ本について、その感想を記録するものである。私は、Amazonのカスタマーレビューを書いていて、Best500レビュアーに入っているので、私のAmazonのカスタマーレビューもそれなりの役には立っているのではないかと想像している。
 しかし、Amazonのカスタマーレビューは、読んだ本全てについてレビューを投稿しているわけではない。それは、既に投稿されているレビューで書かれた内容以外の感想がなければ投稿しないということと、星2つ以下の評価をするような本については、よほどのことがない限り投稿しない、という原則にしているからである。
 このブログでは、そうした枠は離れて、いろいろな本の感想を書いていきたい。新しく読んだ本だけでなく、昔読んだ本の感想を書くこともある。
 主として、下記のような分野の本を扱うことになる。

  • 趣味としての小説:歴史小説、SF、ミステリー
  • 趣味としての小説以外の本:科学関係、歴史関係、旅行関係
  • ビジネス書
  • 自己啓発書
  • 勉強本:ソフトウエア工学、電子工学、英語、Web関連