証拠死体:そんなに凝ったストーリーではないのだが、登場人物の意外な行動でひきつけられる

 検屍官シリーズ第2弾。若い女性作家が殺され、その後、連続殺人が続く。連続殺人でひきつけるというのは、前作と同じである。ストーリーの骨格も、なんとなく前作と似ている。
 だが、登場人物の面白さで、読ませてくれる。たとえば、マリーノ刑事。本当にいい味を出している。この人は、いつ寝ているのだろう?とか、主人公の元恋人って、っ主人公はいったい何歳なんだろう、とか。

ミステリーな仏像:少しマニアックすぎて、ついていけない

 世の中には、こんな不思議な仏像があるんんだ、という驚きの連続である。そういう意味では、この本の主は写真である。文章の方は、その不思議さを解説する内容になっている。ただ、私のような、仏像初心者には、内容が少しマニアックすぎて、ついていけないことも多い。マニアなら十分に楽しめるのではないだろうか。

アマゾノミクス:著者の考え方に共鳴するにせよ、しないにせよ、今後の世界を考える良い本

 既に始まっているデータ社会について、その最先端で仕事をしてきたデータ・サイエンティストが著者。かなり、自由に、やってきたこと、今後来るであろうこと、その利点、欠点について書いた本である。
 最初の、amazonでできることに書かれた部分は、本当にびっくりである。ただ、だんだんとあきてくる。たぶん、著者の言う新しいプライバシーの考え方に共鳴できない部分が多いからだろう。若い世代なら共鳴できる人も多いと思う。考え方に共鳴するにせよ、しないにせよ、今後の世界を考える良い本だ。

検屍官:シリーズの原点

 現在20巻にもなるシリーズの原点の作品。DNA鑑定が決定的な証拠でなく、自宅からのコンピュータアクセスも電話モデムの時代である。しかし、主人公が検屍官という特殊な職業であるということで、ミステリー小説としての面白さを出している、という意味では、あまり類のない作品なので、今でも面白く読める。

超・老人の壁:バカ話が減ったのが残念

 前作(老人の壁)に続く待望の第2弾である。ちょっと、真面目な話が多く、2人の本音のバカ話が少なくなって、この部分は残念であろ。だが、2人の掛け合いは
、相変わらず素晴らしい。

地学のすすめ:地学で実際に解明している地球の姿を丁寧に解説

 題名だけ見ると、みんな地学を勉強しましょう、こんなに役に立ちますよ、というような本に思える。随所にそういうことが書いてはあるが、大半は、こんなことが解明されてきているという、地学による地球の姿を丁寧に解説している。
 地下深部の岩石の融解条件という、深さと温度によって、岩石が融解するかどうかが決まるというグラフを用いてマグマの噴出のメカニズムを説明する部分など、めから鱗である。
 一方で、地震に偏った我々の災害への関心を、実は火山の噴火の方が被害は大きい、と警鐘を鳴らす部分もある。特に中国と朝鮮の間にある白頭山の話は、ちょっと怖い。