ありふれた祈り:殺人が起きるのでミステリーの範疇なのだが・・・

 一応、殺人は起きる。そして、謎解きもある。だからミステリーなのだと思うが、正統派のミステリーとはちょっと違う。というか、ミステリーとしての評価は大きく分かれそうな作品である。
 13歳の主人公が語り手とした、家族の物語として読む方がいいような作品だ。たんたんと語られる物語が、私は好きだ。

ロックイン:何だが暗い話しになるのかと思ったらうまく設定を活かしたSFミステリーになっている

 意識はあるのに体をまるで動かせない「ロックイン」状態の患者は脳にニューラルネットワークを埋め込み、ロボティクス技術と専用オンライン空間の利用しているというのがこのSFの設定。そこで起こった殺人事件。なんだか、暗い話しになりそうなのだが、そうはならないのが、作者の腕である。
 この設定と、主人公が金持ちであるということをうまく活用して、活劇もあるSFミステリーに仕上げている。