2017年6月アーカイブ

 少し前に開催されたラスコー展が盛況だったように、洞窟に残された絵画は我々を魅了する。ところが、そうした注目を浴びる絵画のそばに、ひっそりと記号のようなものが描かれているという。本書は、それまでの研究では着目されてこなかった記号に着目した研究をめぐる物語である。
 研究そのものに関する本ではなく、著者が関わっている研究をめぐって、洞窟の中へ入って写真を撮るということはどういうことか、などのエピソードをふまえて、ノンフィクション風に書かれているので、面白く読める。
 本の主張そのものである、これらの記号は、文字ではないが、人類が文字を発明する前の重要なものなのではないか?という仮説は、非常に説得力がある。本書が、まだ博士課程の学生による著書であるというのも驚かされる。