2015年2月アーカイブ

 神津恭介というのは、高木彬光の推理小説に出てくる名探偵である。高木彬光は、私が最初に読んだ大人向けの推理小説の作家なので、少し思い入れがある。実は、神津恭介は、高木彬光の作品の中でもあまり好きな主人公ではないが、久しぶりに本で見つけたので、思わず読んでしまった。過去にファンだった人には懐かしいと思うが、読んだことのない人が、今さら買って読む価値があるかは難しい。

 

 NHK「サイエンスZERO」で、宇宙エレベーター建設構想を紹介されていたのを見て、急にこの本を読みたくなった。宇宙エレベーターを扱った古典的SFである。単行本が出たときに読んでいるので、たぶん30年前に読んだ作品である。
 クラークの作品の中では、あまり印象に残らなかった作品でもある。再読してみてその理由がわかった。宇宙エレベーター以外に、カーリダーサという架空のインドの話と、スターグラーダーという宇宙からの訪問船の話も含まれていているのである。特に後者は、メインストーリーとの関わりがあまりなく、少し唐突な感じがある。
 ただ、科学的知識に立脚したストーリーは、さすがにクラークである。

 

 写真というのは、そう古い技術ではない。とはいえ、19世紀後半には、それなりの画質の写真が撮れた時代である。もちろん、今のデジカメのように、誰でも使えるということはなかったが、国王や宮殿の写真などは残っている。
 本書は、19世紀のヨーロッパを映したそうした貴重な写真で、歴史を物語るという本である。万国博覧会などの貴重な写真は、本当に興味深い。
 ただ、意外に、王族などの人物写真が多い。私が理系のせいなのか、はっきりいって、王族の写真や歴史はあまり興味がない。建物や、後ろの方に少しだけ紹介されている発明品の写真などがもっと載っていれば、もっと楽しめた。

 

 前回、最近、赤瀬川原平の本を読んでいるということを書いた。本の1冊、1冊は、赤瀬川原平の多才な一面のある部分を切り出した内容である。私のように、芸術家としての赤瀬川原平を知らない人間にとっては、面白いエッセイを書く人である。
 でも、本当は、とんでもなく多才な人である。それを実感したのは、赤瀬川原平の芸術原論:千葉市美術館 - ミュージアム右往左往で書いた通りである。職業は「赤瀬川原平」という以外に表現のしようがなかった。
 そんな多才な面を垣間見えるのが本書である。正直言って、少しあわてて作った感があって、もう少し丁寧に対談などを増やしてくれればよかったのに、とは思うが。

 

 赤瀬川原平が亡くなり、他のブログで書いた(赤瀬川原平の芸術原論:千葉市美術館 - ミュージアム右往左往)が作品にもふれたりして、少し赤瀬川原平の本に凝っている。
 この本は、赤瀬川原平が語る昭和のモノに関するエッセイである。赤瀬川自身の体験と記憶で語られる。ただ、ここに書かれているものは、読者の年代を選ぶであろう。私は昭和30年代の生まれだが、それでもわかりにくいことが多い。たとえば、力道山が喫茶店やそば屋のTVで放映されていて、それが人気をよんだ時代は知らない。オート3輪も見たことはあっても、乗ったことはない。
 たぶん、この本は、私の世代あたりが読者として最も若い世代で、もう1世代前の読者は実感としてわかる本のように思える。

 

 3D画像が目にいいということを言い出したのは誰なのだろうか?実際に効果があるという人もいれば、効果がないという人もいる。私は後者である。なのに、週に数回は、トレーニングとして眺めている。
 これ以上、目が悪くならないための手段として、気休めとしてやっているのだ。まあ、1回数分なので、時間がもったいないというほどでもない。ただ、題材は重要だ。つまらない題材だと、すぐに飽きてしまうのである。その点、この本は、ベスト版という名前がついているように、きれいな題材を集めている。

 

 東海林さだおは、漫画家として有名だが、エッセイとしても名人である。その本当に庶民丸出しの、小市民丸出しの、本音丸出しのエッセイは、笑わせてくれる。
 本書は、東海林さだおとしては面白さは普通くらいと思うが、そもそも東海林さだおのエッセイそのものが名人級なので、普通くらいの面白さというのは、おすすめということである。
 表題になったズルに関する考察は例によって小市民的ズルである。電車の空席、スーパーのレジ待ちなど、あらゆる場面で自分だけ得したいという気持ちから繰り出されるズルが考察される。