日本では、自分の国の歴史つまり日本史と、世界史とを別々に勉強する。でも、こういう教え方は、一般的ではないようだ。海に囲まれ、他の国の直接的影響が少なかった日本ならではのことなのかもしれない。
 本書は、日本史と世界史とを、同じような年代で構成して、世界史の中での日本史という歴史を解説しようという試みである。私の頭の中でも、日本史と世界史は別々のものとして存在しているので、この試みに興味を持って、読んでみた。企画はいいのだが、さすがに新書版で、日本史と世界史の通史をとなると、1つ1つの記述は教科書的な簡単なものになってしまう。結果として、読んでいて面白くないのである。しかも、最近の教科書のように、写真が豊富というわけでもないので、途中で読む気がなくなる。企画は魅力的なので、このアプローチで、もう少し時代を絞って解説した本を期待したい。

 主人公が魅力的なコーク・シリーズなのだが、本書に限って言えば、主人公のいとこの息子とその友達(14~15歳くらい)が魅力的である。もともと、この著者を知ったのが、前にも感想を書いたありふれた祈りという本であり、その本も、主人公の子供たちが魅力的な本であった。
 たんたんと進む物語に魅了される。

 前にも感想を書いたシリーズ。今回の主人公は、いつものマイルズではなくイワン。いつもマイルズが主人公の時には、ちょっと間抜けな役割を演じているが、今回はイワンが大活躍である。複雑な陰謀をあばくことはできなくても、その時、との時で、誠実な判断をすることで、うまくおさまる。マイルズのように、ことをややこしくすることはない。素直に、ストーリーにのめりこめる。

 誰もが海外旅行できるようになった時代、普通の人の海外旅行記というのは意外に少ない。バックパッカーたたき上げの人たちの話を読んでも、普通の人間はあまり共感しない。本書は、そうした本とは異なり、普通の人の旅行記である。私も、家内と子供2人でイタリア旅行へ行ったことがあるが、共感できる部分が多い。
 パスポートを盗まれたり、ロストバゲージにあったり、と大変な目にあいながらも、何度もヨーロッパ旅行に出かける。それだけの魅力があるのだろう。ところごころにある、旅のヒントも、自身の経験に裏付けられている。ロストバゲージにあった時に、自分のスーツケースの説明をするのは難しいので、写真を撮っておくことがおすすめ、というアドバイスは、次の旅行で実践しようと思った。

 前にも感想を書いたシリーズの、おなじみの、マイルズが主人公のSF小説。犯人と微妙な外交交渉の面白さがミックスされた、いかにもマイルズものらしいSF。相変わらず、一気に読ませてくれる。

 

 題名だけからは、国際戦略に関する盛田氏の主張をまとめた本のようにみえる。実際には、そんな単純な本ではなく、氏の生い立ち、経歴、SONY創業の話、SONYの事業展開、そして、妻子を連れての米国への展開とつづく。
 国際戦略といっても経営戦略だけでなく、教育、社交、など経営以外の話題も多い。さらに、マネーの世の中に対する警告もふくめ、盛田氏の幅広い考えが1冊にまとまった本である。

 兄弟と友人からなる銀行強盗団の犯罪小説。周到な計画、沈着な実行力。驚くべきは、これが、実話を基に、しかもその実行犯の兄弟が執筆者の1人として完成された小説であるということである。上下巻で1000ページを超える大作であるにもかかわらず、一気に読ませる。
 名前の登場する人物が極端に少ない。北欧のミステリものにありがちな、名前が混乱して、読んでいる途中で誰が誰だかわからなくなるということもない。実話に基づく、リアリティ。この小説に没入できる要因かもしれない。翻訳も読みやすい。

 本書が、1948年に出版され、その最後の2桁の数字をひっくり返して1984年という題名で発表したことは有名な話だ。実際に、1984年が来た時には、非常に話題になっていたことを、今でも覚えている(真理省が介在しないからね。。。)。
 体制に疑問を持ち、そして最後には屈服してしまうこの小説は、本当に恐ろしい。読みにくいとことも多いが、小説としての面白さもある。本書と、本書の作者の別の著作「動物農園」とは全体主義・独裁主義の怖さを小説という形で教えてくれる。

 アンチユートピアものとして、1984と並び称される古典である。人間がアルファから順に階級化された世界の描写は、アンチユートピアそのものだ。ただ、小説として面白いかというと、少し微妙だ。私は、途中から、かなりだれてしまった、

 妊娠した恋人を殺すところから始まるミステリー。犯人が最初から登場する倒叙ミステリーでありながら、彼という三人称でしかわからないとう謎が、あとあとまできいてくる。全く筋書きが読めないストーリーが展開する。
 1953年作の古い作品だが、今でも十分面白い作品だ。

2017年9月

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