小田嶋隆の学歴論:こういう微妙な題材を料理できるのは著者だけだ 2023年2月20日 / コメントする 学歴という微妙な話題を、個人的な観点から文章にできるというのは、この著者くらいであろう。学歴で差別してはいけない、高学歴だからといって仕事ができるとは限らない、等、一般論として学歴を語るのは簡単だ。 でも、ここでは、学歴に含むあんなことや、こんなことを、いろんな側面から、個別論として語っている。初出はかなり前なのだが、今でも、なぜか、そうなんだなあ、と思ってしまう本だ。
死の蔵書:古書好きの変わった刑事の物語 2023年1月7日 / コメントする 私は古書には全く興味はない。電子書籍でも読めればいいというタイプだ。なので、随所に出てくる古書の薀蓄は、興味はないのだが、なぜか読んでしまう。 ちょっと変わった刑事の行動にひきつけられるのだろうか?何となく読んでしまった。
知識ゼロからの西洋絵画入門:ほとんど知識ゼロの私には非常に参考になった 2022年10月16日 / コメントする TV番組「ぶらぶら美術・博物館」で、わかりやすく解説してくれる山田五郎の著書。全体の流れを解説した後、主要な画家と作品を、1人1作品4ページで紹介してくれる。著者のコメントも楽しく、入門書として抜群の面白さだ。
ストーンサークルの殺人:登場人物が面白い 2022年7月24日 / コメントする 最近のミステリ小説は、謎解きよりも登場人物の方が重要になってきているという印象だ。このミステリもそうで、登場人物が圧倒的に興味深く、これで読ませてくれる。 謎の方は、中盤までは、五里霧中という感じが良く出ていて、次はどうなるんだろう、という期待で読み進めることができる。終盤は、犯人と動機が推測できるようになるが、それでも一気に読める。
宇宙への序曲:クラークらしさが出ている 2022年1月16日 / コメントする アプロ計画が始まる前に書かれた月への有人探査に関するSF。 主人公の設定がうまい。記録に残すための歴史学者という設定なので、プロジェクトの全体像がうまく描写できているのだ。 宇宙への夢がつまっていたころの、SFである。
無理ゲー社会:格差社会は本当にイヤだ 2022年1月15日 / コメントする 才能ある者にとってはユートピア、それ以外にとってはディストピア。という社会は住みにくい、と思う。 今は生まれによって格差がある身分社会ではない。でも、才能による格差社会になりつつある。 米国なんかは、その先進国だろう。30年程前、米国のサンフランシスコとかボストンとかに出張した時、中心部は本当に豊かなところだったが、一歩、裏道に入ると大変なことになると言われた。 このままだと日本もそうなりかねない。通り1つ外れると歩けない社会がいい社会とは思えない。
超速PC仕事術:よくあるショートカットキーの解説だが利用シーンに合わせて紹介されているのが便利 2021年10月30日 / コメントする PC利用に関する実用書でよくあるショートカットキーを活用しようという本だが、紹介されているショートカットキーはそれほど多くない。著者が自分で使っているものを、その利用シーンとともに紹介しているからだ。 数多く紹介されても本当に便利なものがわかりにくいが、この本だとよくわかる。
永遠の終り:古い作品だしアシモフの代表作でもないが傑作 2021年10月29日 / コメントする 地球の通常時間とは別の世界に存在し、最大多数の幸福のため、それぞれの時間のできごとを矯正する永遠人の物語。時間テーマSFなのだろうが、他の時間テーマSFとはかなり趣が異なる。 本当に久しぶりに再読したが、1955年の作品でありながら、アシモフの代表作とも言えないが、傑作である。そもそもの設定の素晴らしさ、アシモフお得意のどんでん返し。SFの面白さが凝縮した作品だ。古本でしか入手できないのが残念。
線は、僕を描く:日本画の奥深い世界 2021年10月26日 / コメントする 青春小説でもあり、プロフェッショナルの世界を垣間見る小説でもある。筆者は日本画家。その世界を、ここまで活写できる表現力に驚く。
トヨタ物語:トヨタの強さが掘り下げられている 2021年6月20日 / コメントする トヨタというのは不思議な会社だ。開発力ではなく製造力、想像力でなく改善力で語られる。たぶん、他社よりも優れた開発力があるが、他社よりも突出した製造力があるからこそ、ここまでの会社になったのだろう。その強さが、掘り下げられた良書だ。