2015年8月アーカイブ

 数学における難問の1つであるポアンカレ予想は、2002年にロシアの数学者ペレルマンによって証明された。ポアンカレ予想と、ペレルマンの業績に関する本は、いろいろと出版されている。ハイビジョン特集 数学者はキノコ狩りの夢を見る ~ポアンカレ予想・100年の格闘~でも特集されていて、私も見た記憶がある。
 だが、そのペレルマンを育てたソ連時代の数学教育から紹介されている本は少ない。スターリン時代を切り抜けて数学という学問と、青少年の数学エリート教育を守ってきた旧ソ連の数学者達の努力、ライバル関係にあってもペレルマンの証明について正しさを裏付ける努力をしてきた数学者達。数学という1人でやることの多そうな学問でも、組織や人の関わる部分の多さに驚かされる。

 本の内容以前に、著者の加藤秀俊という名前が懐かしかった。初めて、著者の本を読んだのは、たぶん今から30年前である。その時、既に有名な著者であった。その人の新刊が今でも出るのか、と思っていたら、何と80歳を超えているようである。
 80歳の人が、ここまで書けるのか、と思うような大作である。600ページの本の中に、いろいろな切り口で、江戸時代の「近代」を切り取っている。引用部分は、少し読むのが難しいし、退屈な部分もあるが、素人でも江戸の「近代」を理解できる内容になっている。

 

 ストーリーそのものは、SFファンなら途中でネタがわかるだろう。でも、それでも、一気に読み進めることができるのは、ディックのストーリーテリングの素晴らしさである。

 

 国立科学博物館は、常設展も楽しい博物館である。何の予備知識がなくても、楽しめる。子供が小さい頃は、子供と一緒に何度か行ったことがある。
 だが、子供が一緒に行ってくれなくなると、特別展だけ見るようになって、常設展へは、ここ数年行っていない。この本を読んで、常設展へ行きたくなった。この本を読んでから行けば、より楽しめるに違いない。
 残念ながら、この本で取り上げられているのは、日本館だけである。つい最近リニューアルした地球館に関しても、是非、本書の続きとして出してほしいものである。

 

 中高年のサラリーマンにとって、大きな個人的問題は、健康、親の介護、そして定年後の仕事だろう。年金で悠々自適という時代ではなく、60歳の定年後も働かなければ食べていけない時代である。社会で、そう言われていても、実際にどうすればいいのかわからない。
 本書は、中高年の働き方のいくつかの具体像を提示している。いづれも、明るい未来とはいえないが、現実的な選択肢である。40歳台でこれを読めれば、選択肢も広がるだろう。

 

 ネットに関する本は、大きく分けて3種類ある。ネットがビジネスに及ぼす未来を扇動的にあおりたてて乗り遅れるな風の内容の本。ネットの否定的な部分を大きく取り上げて、警鐘を鳴らす本。そして、本書のように、どちらでもなく、冷静に事実を分析する本である。最初の2種類の本は多いが、本書のような種類の本はほとんどない。その中でも、本書は本当に出色のできとでもいうべき内容の本である。
 筆者は、あのニコニコ動画で有名なドワンゴの会長である。いわば、ネットビジネスの最前線にありながら、冷めた目でネットに関わる様々な現象を切り取るところは、技術者でもあり経営者でもある筆者ならではである。
 たとえば、ビットコインに関して、そのP2Pの仕組みの上から、サーバー型の決済システムの代替にはなり得ないという技術面での指摘。逆にP2Pであることが、政府などの中央銀行に依存しないという中立性こそが重要だというイデオロギーがビットコインを支持しているという指摘。ビットコインがどのように動作するのかという解説は多いが、技術的限界とイデオロギー側面のこの2つを、これほど簡潔に解説した本は、この本が初めてである。
 他にも、コンテンツビジネスやネットにおける国境など、多様な面からネットを見ることができる。現在出ている本の中でも最高の解説書だろう。

 別のブログでも書いたが、映画もあって、そのブルーレイ版が出たので、購入した。そのビデオを見ていたら、急に小説も読みたくなった。
 前に読んだのも、おそらくは、映画を見に行ってから読んだのだと思う。その時は、あまりのわけのわからなさに、途中でギブアップした記憶がある。たぶん、ストーリーが明確でない小説は面白くなかったのだろう。
 今回、再読して、相変わらず訳のわからない部分が多いが、それでも、本に引き込まれてしまった。この独特の世界は、小説でしか表現できないのではなかろうか。ビデオの方は、途中で眠くなってしまったが、本の方は引き込まれてしまった。