The 500:一気に読んでしまえる面白さ

 裏工作によってワシントンD.C.を仕切っているロビイスト会社に勤めることになった主人公の物語。
 主人公は詐欺師の父親の血を引いて、犯罪行為のスキルも持ちあわせている。そうした犯罪の世界から足を洗うために、苦学してハーバード大学のロースクールに通って、この会社に勤めることになる。その時点では、この会社がそうした裏工作をしている会社であったとは知らない。
 しかし最初の大きな仕事をする時点で、この事実を知ることになる。そうした裏工作に従事する中で、元々持ち合わせていた犯罪行為のスキルを生かしながら、その会社の中で大きな地位をしみるようになっていく。これが前半である。
 ところがその中で、自分が会社のスケープゴートになりかねないということを感知し、そこから逃げ出すために必死の工作をして行く。これが後半である。
 前半と後半とではかなり異なった内容の小説になっている。だが前半のストーリーで、主人公の人生に共感することによって、後半の少し無理があるストーリーを一気に読ませてくれる。解説によると、映画会社が映画化権を取得したということであるが、それも納得である。