アカマイ 知られざるインターネットの巨人:ビジネス面と技術面の両面を解説

 アカマイという会社は、インターネット技術に関連した仕事をやっている人間にとっては、名前はよく知られている。私もコンテンツ配信のインフラを担っている会社だということは知っていた。が、それ以上のことは知らなかった。そもそも、ネットワーク関連の専門誌やビジネス関係の専門誌でも、この会社のことを取り上げた記事は見たことがない。
 そのアカマイという会社を、知られざるインターネットの巨人という位置づけで、ビジネス面と技術面の両面について解説した本である。
 技術面では、コンテンツ配信で最も問題となるところは何か、それをDNSやPINGなどのインターネットにある仕組みを上手く利用して、その課題解決をしている仕組みが解説されている。インターネットの技術そのものを知らない読者にもわかるように丁寧に解説されているが、それでも全く何も知らない読者が理解するには難しいかもしれない。
 ビジネス面では、そのポジショニングのユニークさがよくわかる。直接の顧客はコンテンツを配信したい企業なのだが、それだけでなくISPにもメリットがあるような形で運営することによって、世界中のネットワークに配信サーバーを配置し、それが自社の強みになるというビジネスモデルである。
 技術面とビジネス面と両面で語らなければ、アカマイという会社が、なぜインターネットの巨人なのかがわからない。その両面を的確に解説してくれた本といえる。