海外パッケージツアーをもっと楽しむ本:パッケージツアー以外でもヒントが満載

 旅行の情報がネットであふれている時代ではあるが、それでも、ベテランの書いた旅行のノウハウの本は参考になる。
 別のホームページに、私も旅行記を載せているが、大した経験はないので、人に語れるほどのノウハウはない。基本的に、個人旅行を主にしていたが、昨年、スペインへパッケージツアーで参加した。個人旅行と比較して、良い点もあれば、悪い点もある。でも、パッケージツアーであっても、旅のノウハウは必要だと痛感した。
 そのノウハウは、個人旅行でもパッケージツアーでも共通なものと、パッケージツアー特有のものがある。この本では、主としてパッケージツアーのノウハウが語られているのだが、個人旅行でも役に立つノウハウも満載である。
 トロイ遺跡は大したことがなかった、とか、自腹で行った旅行を基に語っているので、率直な書き方になっている。旅行を仕事としている人ではなく、ユーザー視点の内容が参考になる。

超・反知性主義入門:読了するのに時間がかかってしまった

 日経ビジネスonlineで掲載中のコラムをまとめた単行本の第4弾である。私は、このコラムをWebで愛読していて、さらに単行本も購入して再読するというファンである。なのに、今回の単行本は購入してから読了するまで半年くらいかかってしまった。後書きを読んでやっとその理由がわかった。Web連載の文章に手を加え、少し贅肉を落とした文章にしているのだという。私は、贅肉のついた、少し行きつ戻りつする著者の文章が好きだったので、そうでなくしている文章を読んで違和感を感じていたのだろう。
 それは、日経ビジネス本誌の方で連載中の著者のコラムにも言えることで、そのコラムが誌面の関係で短すぎるのである。
 この著者の本領は、あーだこーだという思考の蛇行にこそ面白さの源泉があること、そして私がその蛇行が好きであることをあらためて実感した。

 

竜の夜明け:パーンの竜騎士に入植者が到着した時代の話

 パーンの竜騎士シリーズの外伝。でも、今まで感想を書いてきたパーンの竜騎士シリーズの中では、最もSFらしい内容だ。パーンに入植者が宇宙船で到着するところから始まるのである。
 このシリーズの序の「射手座区のクルバトは、黄金に輝くG型の惑星である。」で書かれている中で、

 恐るべき糸胞の襲来に備えるため-パーン人は着いた当初に輸送船を解体してしまい、そうした科学技術の粋を、この牧歌的な星にはそぐわないものとして捨て去っていたのだが-才知に富む人類は遠大な計画に乗りだした。まず第一段階として、火蜥蜴-この新世界にもともと棲息していた生命体-をきわめて特殊な能力をもつ品種に改良した。高度の感情移入力をもつ男女や生まれつき思念感応力を備えた男女がそれら異能の動物の世話をし、使いこなすための訓練を受けた。

 この部分の話しが展開されるのである。登場人物の名前が、後の地名になっていたり、と面白い。
 何より、面白いのが、表紙のイラストである。以下に貼り付けようと思ったら、表紙の画像が出てこないのでがっかりである。上巻は宇宙船が、下巻は竜が表紙なのである。この本の内容を一言で表現したすばらしい表紙だ。