ふりだしに戻る:タイムトラベルの古典

 少し前に、スティーブン・キングの11/22/63を読んだら、その解説に、本書のことが書いてあった。私の記憶では、高校時代に、高校の図書館で新刊を読んだ覚えがある。その時は、何とゆっくりとした小説だと思ったことを覚えている。
 再読してみて、このテンポこそが、この小説の持ち味であることがよくわかった。ストーリーを追うという読み方をしていた高校時代には、それがわからなかったのだろう。ただ、11/22/63に比べると、過去への郷愁が甘すぎることは確かである。ここで出てくる人たちは、乾板方式の写真機を買えるだけの収入のある人たちなのである。もっとも、そのことが、この小説の瑕疵になるわけではない。この甘さこそが、この小説の持ち味であろう。

 

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