無理ゲー社会:格差社会は本当にイヤだ

 才能ある者にとってはユートピア、それ以外にとってはディストピア。という社会は住みにくい、と思う。
 今は生まれによって格差がある身分社会ではない。でも、才能による格差社会になりつつある。
 米国なんかは、その先進国だろう。30年程前、米国のサンフランシスコとかボストンとかに出張した時、中心部は本当に豊かなところだったが、一歩、裏道に入ると大変なことになると言われた。
 このままだと日本もそうなりかねない。通り1つ外れると歩けない社会がいい社会とは思えない。

インテル 世界で最も重要な会社の産業史:前半は本当に面白い

 私はZ80が登場した頃に、マイコンを触りだした世代である。第1世代ではない。でも、16ビットマイコンなど影も形もなく、モトローラもそれなりに勢力があった。現に私は、インテル派ではなく、モトローラ派であった。マイコン回路設計も、アセンブラもモトローラの6800で勉強した。
 マイコン初期には、インテルがこれほど圧倒的になるとは思われていなかった時代がある。この本の前半は、そんな時代の話だ。インテルが16ビットマイコン8086を出したすぐ後でモトローラが68000を出す。マイコンの性能としては68000の方が圧倒的に優れている。でも、それをマーケティングの力で抑え込む。ハイテク産業といえども、技術力だけの世界ではないことがよく分かる。

逆・タイムマシン経営論:歴史は繰り返すとはよく言ったものだ

 昔のビジネス雑誌を読み返すと、今と同じような事が起きている。特に、バズワードに関わることはそうだ、ということを、具体的な事例を基に明確にした本。
 バズワードに踊るというのはよくあることだ。若い頃は、本当に踊らされていた。少し年を取り、経験をつむと、そんなの一時の流行でしたかない、とそっぽを向くようになる。
 そして、ずるがしこい人たちは、そんなの一時の流行でしたかないとわかっていながら、それをネタに金にする。歴史は繰り返す、である。

マイクロソフトを辞めて、オフィスのない会社で働いてみた:リモートワークだけの内容ではない

 コロナの影響で、今さらリモートワークを始めることになり、リモートワーク先進会社のことを知りたくて手にとってみた。そうしたら、リモートワークに関して「も」書かれていたが、仕事とは何か、リーダーシップとは何か、とか、いろいろと考えさせられることの多い内容だった。

スッキリ中国論 スジの日本、量の中国:そもそもの発想の違いがよくわかる

 だいたい中国論や韓国論は、正しい・正しくないという議論になりがちである。この本は、そもそも、中国人の発想の根本で日本人と違う部分を説明し、その違いがどういう現象として現われるのかを解説してくれている。
 なるほど、と思わせてくれる本である。スジを通すことが重要視されていない世界があることなど想像もできない普通の日本人にとって、得られる示唆は大きい。価値観というものは、いろいろだ、ということを、あたらめて感じた。

結局、人生はアウトプットで決まる

 Windowsを開発した日本人として有名な著者の本である。これだけ有名な人でも、最初はブログで有名になったというのは、少しびっくりである。どのようにして、自分をブランディングしていったかを、正直に書いていて、好感が持てる。でも、誰でも真似ができるかといえば、それは難しいだろうなあと思う。
 一般人から見て、全く参考にならないかといえば、そうでもない。いろんなところにヒントが潜んでいる本である。

予想どおりに不合理:人間に合理性を期待するのは難しい

 かなり話題になった本をいまさら読んでみた。長年生きていると、本書の話に意外性はなく、そりゃそうだろう、というような話ばかりだ。でも、それが不合理だと言われるまで、不合理とは気づかなかった。
 なるほどねえ。長年生きてきたということは、長年不合理なことをしてしたということでもあるんだろう。でも、そのそも合理的な行動しかしないのなら、ロボットと同じだ。不合理万歳である。

『ロードス島戦記』とその時代:ビジネス書だったとは

 私はSFファンだった(というか、今でもSF好きである)。安田均という名前は、SFの翻訳者だった。それが、コンピュタゲームの紹介者としても活躍しだした。ちょうど、私が、コンピュターゲームを最も盛んにやっていた時代である。当時は、日本のPCと海外のPCでは使うOSが異なり、海外のソフトを日本のPCで使うことができなかった時代だ。そんな時に、安田均の紹介する海外PCゲームは魅力だった。
 そして、安田均という人のゲーム情報がなくなり、『ロードス島戦記』が彼の主戦場になった。ここで、私の頭から安田均という人の名前は消えた。
 なので、『ロードス島戦記』には、何の思い入れもない。でも、久しぶりに聞いた言葉だし、読んでみた。メディアミックスの先行事例として、取り上げられたビジネス書だった。でも、内容は、その時に、活躍した人たちへのインタビューであり、すごく読みやすい。と同時に、ある分野が立ち上がる時の勢いを感じる。これは、マイコンをめぐるジョブズやビル・ゲイツの話などと共通する部分がある。
 最初からビジネスプランがあるのではなく、試行錯誤の中から、ビジネスが生まれていくということがよくわかる本である。