予想どおりに不合理:人間に合理性を期待するのは難しい

 かなり話題になった本をいまさら読んでみた。長年生きていると、本書の話に意外性はなく、そりゃそうだろう、というような話ばかりだ。でも、それが不合理だと言われるまで、不合理とは気づかなかった。
 なるほどねえ。長年生きてきたということは、長年不合理なことをしてしたということでもあるんだろう。でも、そのそも合理的な行動しかしないのなら、ロボットと同じだ。不合理万歳である。

定年をどう生きるか:ノウハウだけではなく考え方も重要

 ベストセラになった嫌われる勇気の著者の本。定年になった私は、定年前後から、いろんな定年本を読んできた。その多くは、年金のもらい方などのノウハウを教えてくれる本と、著者や取材による経験談の2通りだ。でも、この本は、それとは少し異なり、アドラー心理学の考えを用いて、こんな風に考えることもできますよ、という人生のできごとに関する考え方を指南する本である。なるほど、こういう考え方もあるのか、と参考になるとろこも多いだろう。

用心棒:シリーズのイントロなんだろうか?

 この著者は、二流小説家という変わったミステリーで、いろんな賞をとった。風変わりな作品で、印象に残っていたので、本書も読んでみた。正直なところ、密度が低い。あっさり読めるし、面白いといえば面白いのだが。続編を執筆中ということで、シリーズもののイントロというところか、と納得した。

定年不調:定年って健康にまで影響する

 著者は、夫源病という用語を発明した医師である。今は、男性更年期障害外来という貴重な治療を実践している。仕事中心だった男が、ちょうど身体的にも男性更年期にかかるころに、 定年というストレスにさらされ、健康を害するというパターンについての、啓蒙書である。定年は、なってみないとわからない。でも、こういう事実を知っているだけでも役に立つ。

本の雑誌風雲録:配本が本の雑誌の草創期を支えていた

 本の雑誌という出版不況の中で存在そのものが不思議な雑誌がある。本書は、その草創期をささえた目黒考二(私には書評家の北上次郎の名前の方が馴染みがあるが)の回顧録である。雑誌の中身そのものよりも、直接、本屋に雑誌を届けるという配本という仕事と、それをささえた学生バイト達の物語だ。何事も、草創期というのは、活気に満ちている。