ミレニアム1:確かに評判になるだけの作品だ

 ドラゴン・タトゥーの女という副題が何となくピンとこなくて、今まで放置していた話題作。読んでみると、さすがに評判になるだけのことはある内容だ。
 謎には、あまりひねりはないが、警察ではないジャーナリストが真相を追いかけるという部分で、制約のある中での捜索というストーリー展開、日本ではいないだろうなあと思うような個性的な人たち。こうしたディテールで読ませてくれるミステリーである。

定年男子定年女子:定年後の生活には「きょういく」と「きょうよう」が重要

 きょういくは教育ではなく「今日、行くところがある」。きょうようは教養ではなく、「今日、用がある」。確かにそうかもしれない。
学校卒業後、ずっとサラリーマンをやってきて、平日には、必ず「会社」という「今日、行くところ」があった。それがなくなるのが、定年ということだ。そして、新たに「今日、行くところ」を作り出す必要があるというのは、目から鱗である。
全体的に、深刻にならずに、定年後の課題と実践提案とがまとめられている。特徴的なのは、男女で差のあるところも、きっちり触れられていることである。題名通りである。
 後期高齢者の仲間入りをするまでは働きたい。仕事をする以外に「今日、行くところ」を作れる自信はない。勤め先の定年後再雇用は、65歳で打ち切りである。さすがに65歳で雇ってくれる会社もないだろうし。何か、副職を見つけ、65歳以降もできるようにしたいものだ。

定年後の勉強法:参考になる点も多々ある

 今までの勉強法の本の延長線上の話も多いし、初めの方にある勉強は寿命にもよい、というような話は眉唾だと思う。でも、定年後の脳の働きなどから、定年後の勉強法について、まとまった概観が得られるという意味では、なかなか参考になる。
 英会話はあきらめる(読み書きは別)とか、著者らしい。

警告:ちょっと後半の急展開が唐突

 少しマンネリ気味だったシリーズも前作が面白かったので、また手を出してしまった。事件よりも、主人公を追い落とす工作のような部分がストーリーの半分をしめていて、興味を持てない展開だ。謎解きの方は、後半に一気に展開するのだが、スピード感というよりは、唐突感がある。このまま、シリーズを読み続けるかどうかは、次作で決めようかな、と思っている。

国立科学博物館のひみつ 地球館探検編:国立科学博物館の魅力が伝わる本

 国内の博物館・美術館は、どちらかといえば、(私もその一人だが)特別展目当ての入場者が多い。ところが、国立科学博物館は、常設展の入場者の方が多いらしい。いろいろな工夫がなされた展示だからであろう。本書は、その魅力が伝わる本である。
 筆者の対談形式の本なのだが、メインは写真とその説明だ。対談は、それらの展示をどのような意図で作られているかを知るのに役立つ。本書を「見ると」、上野へ行きたくなってきた。