九十歳まで働く:筆者の思い出話-参考にはならない

 題名を見れば、どうやれば90歳まで働けるのか、ということを書いた本のように思える。ところが本書はそうではない。内容が乏しいというのではない。90歳まで働くということに関する内容が書かれていないのだ。単に、筆者の、SONY現役時代から、今までの会社人生を振り返っただけの本である。まあ、その内容は、面白いといえば面白いが、90歳まで働くという問題意識を持った人が買う本ではないだろう。単なる暇つぶし本である。

90歳を生きること:生涯現役の人生学

 雑誌に掲載していたエッセイの中から、「年をとるほどに人生が楽しくなる生き方のヒントになるものを選んで加筆修正」したらしいが、これを読んで「年をとるほどに人生が楽しくなる生き方のヒント」があるかどうかは、少し疑問。ネクタイの結び方を忘れた話とか、階段でつまづいた話など、後期高齢者の現状が書かれていて、ちょっと暗くなる。でも、そんな中でも、うまく折り合いをつけて生きていくという筆者の姿勢は、もうすぐ高齢者の仲間入りをする私の参考になった。

バッタを倒しにアフリカへ:ポスドクの大活躍

 日本におけるポスドクの扱いは、本当にひどい。よほど、実家が豊かでない限り、博士課程に進むものではない。私も、自分の子供には修士で就職するように強く勧めた。
 この著者は、そういう未来が不明な状況に耐え、自分の好きな道を進んでいった。本書は、その青春記(というには、ポスドクは年をとりすぎだが)である。今は、無事就職できたようだが、今度は、出た釘は打たれるという、日本の風土に苦しむに違いない。持ち前の明るさで、突き進んでほしいと願う。