私刑:殺人鬼との死闘-すごい迫力

 連続殺人鬼ゴールトとの死闘に、ついに決着がつく。3巻に渡って繰り広げられた警察との死闘は、ゴールト3部作とでも呼べるほどの、迫力に満ちた話だ。
 ハードボイルドな迫力ではなく、常に自分達を監視し、1歩先を行っている犯人がが迫ってくる恐怖の迫力である。

ネットメディア覇権戦争:ネットのニュースの実態

 私は昔の人間なので、朝、新聞を読まないと、その日がスタートしない。月曜日の休刊日は、リズムが狂う。
 なので、ネットニュースを見ることはないが、周囲はLINEニュースでニュースを知る人が結構多い。そんなネットニュースのビジネスと、内容の実態を、昔ながらの取材で明らかにしていった労作である。
 本当の諸悪の根源は、どんなサイトでも、公告を出して広告料を払うというビジネスの方なのではないか、とも思う。今のネットビジネスは、結局、公告しか収入源がない場合が多いからだ。なぜ、偽ニュースの温床にまで公告を出したがるのが、または出してしまうような構造のなっているのか、そのあたりの実態の解明も期待する。

彷徨える艦隊11:第2シーズンの完結

 冷凍睡眠から甦った士官が、長い戦争の中で戦術を忘れてしまっていた艦隊の指揮をとって、勝利に導く、というありがちな設定でありながら、圧倒的な戦術記述により、面白い小説にしてきた本シリーズ。
 第2シーズンは、異星人がたくさん出現し、どう収拾するのだろう、と思っていたら、収拾せずに完結してしまった。しかも、原作の方は、この後の展開ではなく、第1シーズンの前を描くという。何だかなあ。原作者も収拾できなくなって放棄してしまったのではないだろうか。

真犯人:知らないうちに主人公の恋人が死んでいるなんて

 シリーズ第4弾。読んでいるうちに、主人公の恋人が爆破事件に巻き込まれて死んだという話が出てくる。エッ?シリーズを読み飛ばしてしまったのか?と思ったのだがそうではない。3巻と4巻の間に起きた事件だったようだ。ふつうは、こういう事件は小説の中で中心的に扱われるだろうと思ったのだが、このシリーズでは、そうではないようだ。
 あくまで中心は事件であり、事件と事件の間に起きた主人公たちのできごとは、背景でしかない。
 それにしても、今回の事件の設定は素晴らしい。死刑執行後に起きた殺人事件で、この死刑囚の指紋が検出される。なんとまあ、である。どう解決するのか、と思ったら、うまくまとめている。さすがの手腕である。

血の咆哮:シリーズ中の最高傑作ということだが・・・

 コーク・オコナーシリーズの第7作目。シリーズ最高傑作という評判らしい。確かに、このシリーズで存在感のあるまじない師メルーの過去の話とか、ひきつけられる内容は多い。でも、このシリーズの特徴の1つである緊迫感が感じられない。私は、前作の方が好きだ。でも、次作が翻訳されれば、きっと読むだろう。