ストーンサークルの殺人:登場人物が面白い

 最近のミステリ小説は、謎解きよりも登場人物の方が重要になってきているという印象だ。このミステリもそうで、登場人物が圧倒的に興味深く、これで読ませてくれる。
 謎の方は、中盤までは、五里霧中という感じが良く出ていて、次はどうなるんだろう、という期待で読み進めることができる。終盤は、犯人と動機が推測できるようになるが、それでも一気に読める。

三分間の空隙:三秒間の死角の主人公が再び

 三秒間の死角の主人公達が再び活躍する。麻薬の潜入捜査、政府上層部の約束が保護にされ主人公が独力で自分の命を守る、という流れはほぼ同様である。だからといって、面白くないわけではない。前作と同様、一気に読める。ただ、次々と襲いかかる危機に、あまり切迫感が感じられないという部分も前作と同様である。

 

メインテーマは殺人:作者が活躍

 カササギ殺人事件の作者の、新機軸のミステリー。作者がワトソン役という意味では、古典的なのだが、ワトソンではなく、コナンドイルがワトソン役をやるのである。
 つまり、この作品では、作者のホロヴィッツが、その名前で出てくる。しかも、そのホロヴィッツは、アレックスシリーズの作者であり、刑事フォイルのシナリオもやっていたりと、本当のホロヴィッツがやっていることが描かれている。どこまでが本当かわからないという本来の殺人事件の謎意外の謎まであるのだ。
 推理そのものは古典的だが、この趣向が楽しませてくれる。

三秒間の死角:潜入捜査に協力した元犯罪者

 テンポ良く一気に読める。潜入捜査に協力するため、政府高官の約束まで取り付けて、巨悪犯として牢獄に入るが、途中で政府に裏切られる。その裏切りからいかに逃げるかという物語だ。
 次々と障害が襲いかかる。ただ、なぜか切迫感が感じられない。そこが少し残念なあところである。