サラリーマン2.0:題名だけでは内容は想像できないが副題の通りの本である

 週末だけで、世界一周をする。普通は、やろうとは思わない。世界一周してみたいけど、そんな休暇は取れないし、お金もないし、というのが普通のサラリーマンだろう。それをやったのが、サラリーマン2.0ということだ。
 それを実行したことで、著者の世界が広がっていく。でも、今でもサラリーマンを続けている。面白い生き方である。

結局、人生はアウトプットで決まる

 Windowsを開発した日本人として有名な著者の本である。これだけ有名な人でも、最初はブログで有名になったというのは、少しびっくりである。どのようにして、自分をブランディングしていったかを、正直に書いていて、好感が持てる。でも、誰でも真似ができるかといえば、それは難しいだろうなあと思う。
 一般人から見て、全く参考にならないかといえば、そうでもない。いろんなところにヒントが潜んでいる本である。

雄気堂々:渋沢栄一が主人公

 10000円札になることが決まっている渋沢栄一を主人公にした代表的な小説である。さすがに、城山三郎だけあって、丹念に描かれている。でも、主人公の行動が、あまりにもめまぐるしいので、小説についていくだけで精一杯である。とんでもない人がいたものである。

予想どおりに不合理:人間に合理性を期待するのは難しい

 かなり話題になった本をいまさら読んでみた。長年生きていると、本書の話に意外性はなく、そりゃそうだろう、というような話ばかりだ。でも、それが不合理だと言われるまで、不合理とは気づかなかった。
 なるほどねえ。長年生きてきたということは、長年不合理なことをしてしたということでもあるんだろう。でも、そのそも合理的な行動しかしないのなら、ロボットと同じだ。不合理万歳である。

名作うしろ読み:さすが齋藤美奈子

 小説の名作は、冒頭が有名である、だが、本書は、そのラストで語ろうという試みだ。これが、またうまい。こういう料理は、齋藤美奈子の独壇場であろう。
 名作に対して一般的な解釈にこだわることなく、自分はこう読んだと言い切る自信。これもまた、齋藤美奈子の独断場である。

信長の原理:新しさをうまく出している

 今さら、信長でもにだろう、と思ったのだが、ある書評で評判がよかったので、読んでみたら面白かった。信長が、2:6:2の法則を知っていたという設定で、いろんなできごとをうまく説明している。戦国時代の歴史小説の好きな人なら、誰もがよく知っている話を、この視点から描いていて、これが面白い。ただ、最初のうちは、珍しさもあって面白いのだが、だんだんと、無理すじの話になってきているようにも思う。前半は、圧倒的に面白い。

『ロードス島戦記』とその時代:ビジネス書だったとは

 私はSFファンだった(というか、今でもSF好きである)。安田均という名前は、SFの翻訳者だった。それが、コンピュタゲームの紹介者としても活躍しだした。ちょうど、私が、コンピュターゲームを最も盛んにやっていた時代である。当時は、日本のPCと海外のPCでは使うOSが異なり、海外のソフトを日本のPCで使うことができなかった時代だ。そんな時に、安田均の紹介する海外PCゲームは魅力だった。
 そして、安田均という人のゲーム情報がなくなり、『ロードス島戦記』が彼の主戦場になった。ここで、私の頭から安田均という人の名前は消えた。
 なので、『ロードス島戦記』には、何の思い入れもない。でも、久しぶりに聞いた言葉だし、読んでみた。メディアミックスの先行事例として、取り上げられたビジネス書だった。でも、内容は、その時に、活躍した人たちへのインタビューであり、すごく読みやすい。と同時に、ある分野が立ち上がる時の勢いを感じる。これは、マイコンをめぐるジョブズやビル・ゲイツの話などと共通する部分がある。
 最初からビジネスプランがあるのではなく、試行錯誤の中から、ビジネスが生まれていくということがよくわかる本である。

仁義なき宅配:現場は大変だなあ、やっぱり

 現場に入り込んで取材をするということで、現場の大変さがよくわかる。本社の人たちが考えた戦略を実際に現場に持っていくと、問題が生じる。それを何とかするのは、結局、現場なのである。しかも、その人たちの給料は安い。この著者が着目する職場は常にそうだった。
 どんな職種にもホワイトカラーとブルーカラーの格差問題は生じる。でも、その歪みが大きすぎないか、という疑問がある。