司馬遼太郎で読み解く幕末・維新:司馬遼太郎が扱っている時代の雑談

 前に、「司馬遼太郎」で学ぶ日本史:何を学べるのかを学べる本 – 読書右往左往を読んだので、その勢いで、よく似た題名の本を読んでみた。こちらは、何を読み解くのかはよくわからない。司馬遼太郎の本を列挙し、その時代に関する筆者の雑談を並べたように思える。でも、意外に、面白い。

「司馬遼太郎」で学ぶ日本史:何を学べるのかを学べる本

 TV番組「100分de名著」の内容に加筆したもののようだ。TV番組も見たのだが、やはり本にした方がよくわかる。
 司馬遼太郎の小説は、歴史小説であって、歴史書ではない。でも、我々にとって重要なのは、史実かどうか、ではなく、まず面白いかどうかである。
 面白さ以外の重要なことは、人それぞれだろう。でも、司馬遼太郎の本からこんなことが学べますよ、ということを語ってくれるのは、本から何かを学びたいと思うときには、いい手引書になる。司馬遼太郎の長編小説はすべて読んだのだが、へ~、こんなことも書かれていたのか、と気づくことも多い。
 筆者が歴史家ということで厳しい目のレビューが多いようだが、書名が歴史を学ぶ本のような書名だから誤解を与えるのだろう。歴史に詳しい人が、司馬遼太郎の本から学べることを教えてくれる本、と思って、軽い気持ちで手に取る本だ。

定年後:筆者の定年経験のちょっとした話が参考になる

 最近、この手の本をよく読む。自分もその年齢になろうとしているからだ。だが、本によって、自分に響く本と響かない本とがある。この本は前者であった。
 特に、筆者が企業を定年退職した人であり、その定年後のエピソードを披露している部分が響く。夏の間は、会社員時代のように起床できるが、冬になると起床時間が遅くなり、夏になると再び早くなった、という話など、そうなんだろうなあ、それが定年ということなんだろうなあ、と思った。

ファインダーズ・キーパーズ:前半がすこし退屈(前作に比べて、だが)

 前作と同様、犯人は最初からわかっていて、その犯人と被害者の話が出てきて、その悲劇をどう食い止めるか、というパターン。前作の、このパターンがあまりにもスリリングであったため、本作はそれに比べて、あまり緊迫感がなく前半が過ぎてしまう。下巻の方は、面白くなるので、さすがなのだが。

ユービック:ディックにしか書けないSF

 何という不思議なSFだろう。ディックのSFらしく、最初は、小説の世界を理解するのに時間がかかる。テレパスや予知能力者と、その能力を不活性化する能力を持つ不活性者が存在し、不活性者を派遣する会社が存在する。未来社会は、身近なドア、テレビ、冷蔵庫などは、使う都度、料金が必要となっている。
 そんな社会で、事件が起こり、その事件も、時間が逆行するという事件で・・・。
 次々とディックの世界についていかなければならない。でも、その努力に見合う面白さだ。

Google誕生:草創期の発展がよくわかる

 2006年刊行の本なので、ネット企業の本を、発行から12年も経って読むことの意味があるのか、と思いながら、少しだけページをめくって、そのあと、一気に読んでしまった。ちょっとサクセスストーリーすぎるが、草創期の熱気と、目指していた姿がよくわかる。
 今のGoogleでは、会社が大きすぎて、こういう本は、もう書けないだろう、と思う。