九十歳まで働く:筆者の思い出話-参考にはならない

 題名を見れば、どうやれば90歳まで働けるのか、ということを書いた本のように思える。ところが本書はそうではない。内容が乏しいというのではない。90歳まで働くということに関する内容が書かれていないのだ。単に、筆者の、SONY現役時代から、今までの会社人生を振り返っただけの本である。まあ、その内容は、面白いといえば面白いが、90歳まで働くという問題意識を持った人が買う本ではないだろう。単なる暇つぶし本である。

90歳を生きること:生涯現役の人生学

 雑誌に掲載していたエッセイの中から、「年をとるほどに人生が楽しくなる生き方のヒントになるものを選んで加筆修正」したらしいが、これを読んで「年をとるほどに人生が楽しくなる生き方のヒント」があるかどうかは、少し疑問。ネクタイの結び方を忘れた話とか、階段でつまづいた話など、後期高齢者の現状が書かれていて、ちょっと暗くなる。でも、そんな中でも、うまく折り合いをつけて生きていくという筆者の姿勢は、もうすぐ高齢者の仲間入りをする私の参考になった。

ハーバード日本史教室:リーダー育成のための日本史

 ハーバード大学で日本史を教えている先生にインタビューした本。日本以外の国の、まともな大学で、日本史がどう教えられているのか、ということを知ることができる。我々の知らないことも多い。また、日本人というフィルタを通した日本史とは異なる見方も面白い。
 でも、この本を読んで感心したのは、日本史そのものではなく、教える側のスタンスである。リーダーを育成するというスタンスで教えられていることがよくわかる。ハーバードという大学は、リーダーを育成するための大学であり、その方針に従った内容なのだなあ、と感心したのだ。
 米国史とか経営学で、リーダー育成を意識するのはわかるのだが、日本史のようなマイナーな教科でも、リーダー育成である。欧米は、実は日本よりも学歴社会だという意味の一端が分かった気がする。