ジョナサン・アイブ: Apple社と日本企業でのデザイナーの役割の違いに驚いた

 ジョナサン アイブは、Apple社の様々な製品のデザインをしてきたデザイナーである。そのジョナサン アイブに焦点を当てた本である。
 この本を読んで一番びっくりしたのは、ジョナサン アイブの才能ではなく、Apple社におけるデザイナーの仕事の広さである。日本企業においては、大抵の場合、デザイナーというのは目に見える外観をデザインするにすぎない。
 ところがApple社においては、製品コンセプトそのものだけではなく、製造方法まで含めてデザイナーが検討して、最先端のデザインを実現しているのである。ここまで仕事を広げられるような実力のあるデザイナーが果たして日本にいるのか、そもそもそんなことを許すような企業があるのか、という疑問を感じざるを得ないような内容の本である。

 

マックスウェルの悪魔―確率から物理学へ:エルゴート仮説から出発する統計力学

 初版は昭和45年という本当に古い本である。しかしそれが新装版として復刊されたのにはワケがある。専門家ではないが科学に興味のある人達にとって分かりやすく解説するというブルーバックスの本の中でも筆者の本は最も定評のあった本だったからだ。私も高校時代にむさぼるように読んだ覚えがある。タキオンという言葉はこの筆者の本で読んだはずだ。
 本書は、「考えられるすべての状態の持つエネルギーに大小がなければこれらすべての状態は同じ頻度で起こりうる「というエルゴート仮説を活用することによっていろいろな事象を説明していく。
 今回久しぶりに筆者の本を読んで気がついたのは、本筋以外の余談が結構書かれているということである。高校時代に読んだときにはそんな事は全く気がつかなかった。

 

秘伝「書く」技術:作家の仕事もビジネスマンの仕事も共通の部分がある

 書く技術といっても特別なものがあるわけではない。作家というのは書くことが仕事である。そういう意味では、作家としての特殊性よりも、プロとしての仕事術としての共通性の方が多いのではないかと感じた。
 たとえば「やる気があるからやるのではなく、やるからやる気が出てくる」などという言葉はビジネス書などでもよく目にする言葉である。それ以外にも、ネタをカードにして整理するとか、ビジネスマンの仕事術にも共通の部分が多い。
 ただ、この作者は、本当に書くことが好きなのだということがよくわかる。うらやましいくらいである。本当に重要なのは、自分の仕事を好きになることなのだという当たり前のことを再認識させてくれる。。
 作家志望の人だけではなく、ビジネスマン一般の人の参考にもなると思う。

 

ウルトラマンが泣いている:特撮の現場と著作権ビジネス

 私はウルトラマンをリアルタイムで見た世代である。ウルトラマンが放送された翌日に小学校では必ずウルトラマンごっこをしていた。別のブログでも書いたが円谷英二 特撮の軌跡展に行ったり、これもまた別のブログで書いたがウルトラマンデザインで名高い成田亨 美術/特撮/怪獣展などへも行ったりする程度のファンではある。
 CGのない時代に特撮というのは本当に大変であったと思う。それをビジネスとして続けていく苦労は想像以上のものであろう。しかも、先駆者というのは試行錯誤の連続であるので結果的にはいろいろな失敗をする。
 この本の著者は、円谷英二の孫である。題名からわかるように、当然円谷プロの経営について批判的に書かれている。たぶん、ある一面ではこの筆者の言う通りの失敗を重ねていってに違いない。
 特に著作権ビジネスというのは、日本にはなじまない形のビジネスだっただろう。今から思えばこうすればよかったという後悔の連続に思えてくる。特に、孫という立場から考えると、より一層その部分が強調されることになる。
 だが、今でもウルトラマンがある世代にとって一定のポジションを確立しているという意味では、成功であったということも言える。

 

気になるガウディ:ガウディ建築の解説書兼旅行案内

 スペイン旅行に行こうかと思っている。ガウディといえばバルセロナの観光のメインである。
 スペイン旅行に行こうと思う人間にとっては、ガウディは、この本の題名の通り、確かに気になる存在である。この本はガウディの人そのものの業績、ガウディ建築の特徴、どこ行けばガウディ建築を見ることができるか、などについてまとめて記載されている。「とんぼの本」らしく綺麗な写真が満載である。