トヨタ物語:トヨタの現場のDNAがすごい

 メーカーは現場が全てである。現場を知らずに、経営する経営者が登場すると、そのメーカーの業績は低下する。机上の空論など、メーカーにとって何の役にも立たないからである。この本は、トヨタの現場での歴史を追った貴重な本である。

スパイたちの遺産:読み終えるのが惜しい作品

 名作「寒い国から帰ってきたスパイ」の続編という紹介だが、実際には、同じストーリーを違う視点で描かれた作品というべきだろう。寒い国から帰ってきたスパイは、当事者の視点から描かれた作品である。本書は、その作戦を仕掛けた側から描かれた作品だ。
 ル・カレのスパイ小説でおなじみのピーター・ギラムの引退後に、寒い国から帰ってきたスパイでの作戦が究明されることになる。既に世代交代してしまい当時の状況すらわからない若い世代にピーター・ギラムが尋問される。尋問の会話、記録文書、ピーター・ギラムの回想シーンという地味な内容なのだが、なぜか緊迫感があるのだ。さすがにル・カレだ。1931年生まれということだから、この作品が発表されたのは86歳ということになる。本書は、ル・カレからの遺産かもしれない。

探検!東京国立博物館:展示だけでなく建物の話も

 博物館や美術館の本は、大抵の場合、展示内容の紹介が大部分を占める。だが、本書は。探検という題名からわかるように、国立博物館の書く建物を探検する本なのである。当然、その中で展示物も紹介されるが、建物の話も多い。