日本史の論点:時代ごとに著者が異なるので読みにくい

 歴史というのは過去のことである。だから、変わらないかというとそうではない。歴史の見方は変わるのである。今の時点での日本史の世界で注目されている論点を時代別にまとめた書である。こういう書は少ないので、得がたい。でも、時代ごとに著者が異なるので、文章のトーンが違いすぎて読みにくい。もっとも、1人で書ける学者がいるわけもない。時代別に分けざるを得ないのは仕方なのだが。面白いところは面白い。

ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン:表紙のイメージと内容が違いすぎる

 表紙はメカロボット風なのだが、本作品で、メカロボットが出てくるのは、ほんの少しである。しかも、主要な部分ではない。
 主要なストーリーは、日本が戦争に勝ったがために、暴力と陰謀に満ちた世界になってしまった中で、陰謀に巻き込まれた人たちの物語だ。あまりに醜悪な世界なので、読後感もすっきりしない。
 でも、たぶん、続編を読むんだろうなあ、と思う。

力石徹のモデルになった男

 あしたのジョーは、アニメで見た。空手バカ一代もアニメで見た。キックの鬼もアニメで見た。こうしたアニメの登場人物であったり、登場人物のモデルであったりした人のノンフィクションである。こういう人がいたんだ、というだけで、読み進めてしまう。

還暦からの底力:ちょっと期待と違う内容だった

 題名から、定年後の生き方について書かれているのかと思ったら、少し違った。どちらかというと、副題の「歴史・人・旅に学ぶ生き方」の本だった。こういう生き方をしていると、定年とか還暦とかを意識しなくても生きていけるという内容だ。
 確かにそうかもしれないが、普通の人生では、そんな生き方をしていない。

メインテーマは殺人:作者が活躍

 カササギ殺人事件の作者の、新機軸のミステリー。作者がワトソン役という意味では、古典的なのだが、ワトソンではなく、コナンドイルがワトソン役をやるのである。
 つまり、この作品では、作者のホロヴィッツが、その名前で出てくる。しかも、そのホロヴィッツは、アレックスシリーズの作者であり、刑事フォイルのシナリオもやっていたりと、本当のホロヴィッツがやっていることが描かれている。どこまでが本当かわからないという本来の殺人事件の謎意外の謎まであるのだ。
 推理そのものは古典的だが、この趣向が楽しませてくれる。