解錠師:熱中のあまり電車を乗り過ごしてしまった

 電車の中で読んでいて、久しぶりに電車を乗り過ごしてしまった。これほど、一気に読める本は久しぶりである。
 幼い頃の事件のため口をきけなくなった金庫破りの名人という設定が素晴らしい。しかも、特定の犯罪グループに所属するのではなく、金庫破りの専門職としてのみ登場する。複数のポケベルを所持し、どのポケベルに依頼がかかってくるかで、その依頼人のレベルがわかるしくみになっている。
 本当にあるかのような設定の中で、スピーディにストーリーが進む。読後感も、すっきり、という最高のミステリである。