皇帝フリードリッヒ二世の生涯:さすがに塩野七生は読ませる

  塩野七生と言えば、ローマ人の物語だ。あの、超大作を読んだ後では、それ以外の作品は何を読んでも少し物足りない感じがするのは仕方ない。なので、この作品が出ていたことすら知らなかった。文庫本でローマ人の物語を再読してから少し塩野七生から遠ざかっていたからだ。
 本作は、フリードリッヒ二世という1人の皇帝の一生を描くという、過去の作品で言えばチェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷の系統の作品だろうか。1人を描くといっても、その興味の中心は、政治的人間としての行動である。いつもの、カトリック教会ぎらいは徹底していて、中世における教会支配の暗さとそれに対抗しようとして個人としては成功したものの子孫まで考えると結局は挫折した皇帝の一生がよくわかる。

 

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