地底旅行:古典的名作なのは確かだが、さすがに少し古いか

 ヴェルヌの古典的名作である。40年以上も前に読んだ時は、本当にドキドキしながら読んだ。ヴェルヌの作品はいくつか読んだが、本作が一番面白かったのを覚えてる。その懐かしさで、40年ぶりに読んだのだが、古典的名作であるのは確かだが、さすがに少し古いかな、という感想である。

オマル2:ヒト族が中心のストーリー

 前に感想を書いたフランスSFの続編である。続編といいながら、舞台が同じだけで、時代は遡ってしまう。シリーズものにありがちな、前作の祖先が出てくることもない。
 大きく3つのストーリーが同時に進行する。その3つとも、主人公はヒト族である。前作は、主人公達の種族に慣れるのに時間がかかったが、本作は、そのあたりのギャップがないため、スムーズに読み進めることができる。が、迫力は前作ほどではない。

ゲイトウエイへの旅:中編小説と短編

 前に感想を書いたゲイトウエイシリーズの番外編である、主人公はブロードヘッドではない。
 だが、中編小説は、明らかに主人公を替えたゲイトウエイである。語り口、そのストーリーも。一方、短編の方は、ゲイトウエイの歴史の読み物を作るとしたらこういう形式になるのかも、と思わせるような内容である。

ゲイトウエイ4:やっぱりブローヘッドの物語

 ゲイトウエイに出てきて独特の存在感のあったシキテイ・バキンのひ孫、ヒーチーの子供、などいろいろな登場人物が出てくる。また、メインストーリーとしては、暗殺者を探すというストーリーがある。
 でも、この物語は、結局はブロードヘッドの物語だ。機械貯蔵の知性となっても、相変わらずアインシュタイン・プログラムとダラダラとした対話を続ける。クララの新しい夫に嫉妬する。でも、結局、暗殺者の正体を突き止めるのは、結局、ブロードヘッドだったりする。このあたりの語りは、さすがである。

機龍警察 火宅:短編集は少し物足りない

 機龍警察シリーズ初の短編集。機龍警察シリーズは、登場人物達の過去と交差しながら物語が進行するところが読みどころである。それが短編集では、1つ1つの短編が独立しているため、シリーズの特徴である部分が薄められている感じである。ちょっと物足りない。
 機龍警察の最初をSFに分類していまったために、同じシリーズである本署もSFに位置づけているが、実際にはSF色は非常に薄く、警察小説である。

機龍警察 未亡旅団:次は姿警部の話だと思っていたが・・・

 自爆条項でライザの過去が、暗黒市場でユーリ・オズノフの過去が交錯したので、次は姿の番だと思っていたら、あっさりと外された。城木理事官の実の兄と絡むのである。
 ただ、前2作とは異なり、過去とからむのは、チェチェンのテロ組織「黒い未亡人」がどのように始まったのか、という話である。相変わらず、一気に読ませてくれるし、今後に向けての伏線も張られまくっている。

 

ゲイトウエイ3:ヒーチーとクララとブロードヘッドの物語

 古いSFで、前にも感想を書いたが、いよいよヒーチーが本格的に登場する。さらに後半にはブラックホールに閉じ込められたクララも登場する。2では、少し話しが破綻した感じがあったが、本作はうまくまとめられている。ただ、謎は全く解明されずに終わる。また、古本を買って、続編を読まなければならない。

 

機龍警察 暗黒市場:ユーリ・オズノフのロシア警察官時代が交錯する

 前作はライザの過去が交錯したが、今回は、もう1人の主人公であるユーリ・オズノフの過去が交錯する。前作に比べて、この交錯した部分の効果が少し薄れている。前作と同じパターンなので、自分の過去に復讐されるという小説のパターンもまたわかってしまうからである。
 だからといって、面白いわけではない。少し強引な展開になりそうだとは思いつつも、読まされるだけの筆力はさすがである。

オマル:フランス作家による正当派SF

 総面積は地球の5000倍にもおよぶ巨大惑星オマル。そこではヒト族、シレ族、ホドキン族の3種族が暮らしていた。この設定だけで、わくわくしてしまう。正当派の冒険SFである。ちょっと、ハイペリオンを思わせるような展開もあり、一気に読めた。フランスSFといいうことで、手に取る前は少し躊躇したけど、面白い。ただ、結末は、ちょっとあっけない。続編に期待する。

 

竜の夜明け:パーンの竜騎士に入植者が到着した時代の話

 パーンの竜騎士シリーズの外伝。でも、今まで感想を書いてきたパーンの竜騎士シリーズの中では、最もSFらしい内容だ。パーンに入植者が宇宙船で到着するところから始まるのである。
 このシリーズの序の「射手座区のクルバトは、黄金に輝くG型の惑星である。」で書かれている中で、

 恐るべき糸胞の襲来に備えるため-パーン人は着いた当初に輸送船を解体してしまい、そうした科学技術の粋を、この牧歌的な星にはそぐわないものとして捨て去っていたのだが-才知に富む人類は遠大な計画に乗りだした。まず第一段階として、火蜥蜴-この新世界にもともと棲息していた生命体-をきわめて特殊な能力をもつ品種に改良した。高度の感情移入力をもつ男女や生まれつき思念感応力を備えた男女がそれら異能の動物の世話をし、使いこなすための訓練を受けた。

 この部分の話しが展開されるのである。登場人物の名前が、後の地名になっていたり、と面白い。
 何より、面白いのが、表紙のイラストである。以下に貼り付けようと思ったら、表紙の画像が出てこないのでがっかりである。上巻は宇宙船が、下巻は竜が表紙なのである。この本の内容を一言で表現したすばらしい表紙だ。