時間の習俗:トリックものは再読に耐えない

 点と線の刑事が再び事件に関わるという松本清張には珍しいパターン。トリックの内容そのものは、こちらの方が多彩で、緻密だ。でも、逆に、その中心であるカメラが、フォルムからデジタルに変わる中で、ピンとこないものになってしまっている。トリックに傾きすぎた分、登場人物の描写が平坦になってしまって、再読に耐えない。40年ほど前に、本作を読んだ時には、点と線よりも面白かった記憶があるのだが。

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