定年バカ:定年とは集団から外れる初経験-なるようにしかならないだろうけど

 入学、就職、誰もが通る道である。そして、その道は、その人にとっては、全て初体験である。だから定年も初体験なのだ。
 だが、今までの初体験は、全て、ある集団に所属するという初体験であったが、定年は、集団から離脱するという初体験であるとことが異なる、という指摘は、今までの定年本にはない指摘であった。なるようにしかならないし、という消極的楽観論者である私が、なぜ定年を不安に思っていたのか、初めてわかった気がする。
 お金も心配だし、健康も心配だ。だが、一番心配なのは、今まで当然のこととして所属してきた集団に、所属しなくていいという初体験が不安なのである。そして、新しい集団への加入は、今までの入学、就職という社会上の仕組みでなく、自分で動かないと加入できない。何の集団にも所属していない自分を想像できないところが不安なのである。
 不安の元がわかっただけでも、この本を読んだかいがあった。まあ、なるようにしかならないか。