叛逆航路:英米のSF関連賞7冠

 英米のSF関連賞7冠という宣伝文句に惹かれて読んだ。正直なところ、そこまでの作品だろうか?というのが感想である。しかし、面白いSFには違いない。リエンテスや市民といったローマ帝国を彷彿とさせる世界。死人を宇宙船の属躰として活用している。その属躰は、船そのものである。ところが、ある事件で、その属躰が個人になってしまう、という背景で、小説は進む。
 船に属する複数の属躰が全てその船であるというところから生じる、ある出来事を複数のシーンで描写するところなど、わかりにくくなるような状況をも、筆者の筆力でうまく描写する。その筆力は、素晴らしい。
 3部作の第1作ということで、何となくすっきりしない結末であるが、次の作品を読みたくなる作品であることも確かだ。

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