ロケット・ササキ:スケールの大きな技術者

 電卓の父として有名なシャープの元副社長佐々木さんの活躍を活写した本である。電卓の父としてしか認識していなかったが、実は、技術に対する慧眼だけでなく、多方面に人脈があり、電話1本で会うことが出来るという人間力の人でもあったことを知った。
 そんな彼でも、インテルが考えていた電卓の機能をMPUとメモリーに分割し、ソフトウエアで実現するという方式については、その近くまでいながら、届かなかったという。技術の方向性の見極めの難しさを思う。
 もう一つ心証的なのは、創業者早川とのやりとりである。いくら佐々木が優秀でも、その自由度を許容できるだけの懐の広い創業者がいないと仕事はできない。サラリーマン社長になってからのシャープの凋落がそれを端的に示している。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。