日本史から見た日本人 昭和編(上):統帥権の問題を明確に解説

 日本を太平洋戦争に駆り立てた原因の1つが統帥権の問題である、というのは、司馬遼太郎も指摘している。だが、司馬遼太郎が、その統帥権が暴れだす時代を描くことは、ついになかった。
 その原因が明治憲法にあり、その欠点を誰がどのように利用して、統帥権という化け物に育てていったのか。その化け物化に対する抵抗と挫折の歴史がまとめられている。
 本来なら、明治憲法の欠点を改正すればよかったのだが、不磨の大典と呼ばれた明治憲法を改正するということは、誰にもできなかった。人が作った仕組みを聖域化してしまうことの恐ろしさがよくわかる。

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