3001年終局への旅:クラークの未来小説

 映画でも小説でも有名な2001年宇宙の旅のシリーズ最終作である。だが、小説の内容は、あまり2001年宇宙の旅のシリーズらしくない。2001年宇宙の旅の宇宙船ディスカバリー号の船長代理フランク・プールが奇跡的に3001年に発見され蘇生する。基本ストーリーとしては、2001年宇宙の旅のシリーズの形態をとっている。だが、実際の物語は、21世紀の人間であるプールから見た31世紀の地球の様子を、クラークお得意の淡々とした記述で重ねていく。未来を描かせたらピカ一のクラークの作品だけあって、1997年刊行という作品でありながら、その未来像は説得力がある。私のようにサイバーパンクがあまり好きではないタイプの人間にとっては、安心して楽しめるSFである。

 

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