呼吸入門:齋藤孝流の誰でもできる呼吸法

 この本のエッセンスが、呼吸法の実践方法だとすれば、「鼻から3秒息を吸って、2秒お腹の中にぐっと溜めて、15秒間かけて口から細くゆっくりと吐く」という1文だけで終わりである。
 だが、それだけでは、実際には、そうした呼吸法を実践する意義、なぜそういう呼吸法を考え出したのか、他の呼吸法とは何が違うかなどがわからない。そうしたことを知らないと、人間というのは、たったこれだけのことでも実践はできない。文庫本にして180ページ程度の薄い本なので、すぐに読めてしまう。それでいて、呼吸ということの重要性がわかる。でも、1回読んだだけでは、実は何もわかっていない。とこどき、その主要な部分を再読したくなる本である。
 筆者そのものの考えなども盛り込まれていて、単に健康の本という範疇ではおさまらないかもしれない。そもそも筆者の専門が呼吸の研究であったことを初めて知った。