ミステリガール:前作の「二流小説家」と同じくストーリー以外が面白い

前作の「二流小説家」に関する感想を前に書いたが、本書もさすがに同じ作者と思わせる作品である。ストーリーを追う本ではない。本書の中で繰り返される主人公の愚痴とか、サブカルチャーに関する薀蓄とか、妙な脇役との会話を楽しむ本である。
前作と同じく、結末あたりの部分は少し無理がある感じがする。まあ、ストーリーを楽しむ小説ではないので、そのあたりの無理は許せる範囲ではある。

 

二流小説家:主人公の書いた二流小説を楽しむ本

メインストーリー自体はミステリー小説としては平凡な出来であろう。
だが休日の日にだらだらと暇つぶしに読む本としては、私には面白かった。この小説の中はメインストーリーとは別に主人公の書いた二流小説が散りばめられている。この二流小説がいかにも二流小説なのである。この二流小説をいかにも二流小説だと思いながら面白がれる人であれば、休日の暇つぶしには最適な本になるであろう。それがミステリー小説の楽しみ方なのかどうかは別ではある。
さらに、この小説を原作に、日本で映画が作られるとは思ってもみなかった。この小説の面白さは、ストーリーでも会話でもなく、主人公の書く二流小説なので、いくらなんでも映画には向かないと思うのだが、世間の評価は異なるようである。