マックスウェルの悪魔―確率から物理学へ:エルゴート仮説から出発する統計力学

 初版は昭和45年という本当に古い本である。しかしそれが新装版として復刊されたのにはワケがある。専門家ではないが科学に興味のある人達にとって分かりやすく解説するというブルーバックスの本の中でも筆者の本は最も定評のあった本だったからだ。私も高校時代にむさぼるように読んだ覚えがある。タキオンという言葉はこの筆者の本で読んだはずだ。
 本書は、「考えられるすべての状態の持つエネルギーに大小がなければこれらすべての状態は同じ頻度で起こりうる「というエルゴート仮説を活用することによっていろいろな事象を説明していく。
 今回久しぶりに筆者の本を読んで気がついたのは、本筋以外の余談が結構書かれているということである。高校時代に読んだときにはそんな事は全く気がつかなかった。