小田嶋隆のエッセイは好きで、単行本が出る都度読んでいる。最初の頃は、少し毒がある内容が面白かった。今でも毒はある。でも、その毒が、どんどん常識派になってきた。逆に言えば、今の世の中の一部の動きが、なにか変な方向へ行っているということなのかもしれない。
三秒間の死角:潜入捜査に協力した元犯罪者
モナ・リザ・ウイルス:ちょっと腰砕け
ゲームの王国:脇役の不思議な登場人物
比ぶ者なき:なるほど、だから不比等か
インテル 世界で最も重要な会社の産業史:前半は本当に面白い
私はZ80が登場した頃に、マイコンを触りだした世代である。第1世代ではない。でも、16ビットマイコンなど影も形もなく、モトローラもそれなりに勢力があった。現に私は、インテル派ではなく、モトローラ派であった。マイコン回路設計も、アセンブラもモトローラの6800で勉強した。
マイコン初期には、インテルがこれほど圧倒的になるとは思われていなかった時代がある。この本の前半は、そんな時代の話だ。インテルが16ビットマイコン8086を出したすぐ後でモトローラが68000を出す。マイコンの性能としては68000の方が圧倒的に優れている。でも、それをマーケティングの力で抑え込む。ハイテク産業といえども、技術力だけの世界ではないことがよく分かる。
クロストーク:メインストーリーは単純なのだが
逆・タイムマシン経営論:歴史は繰り返すとはよく言ったものだ
ローマ史再考:東ローマ帝国から見たローマ史
私のローマ帝国史の知識のほとんどは塩野七生のローマ人の物語によっている。この長い物語で、キリスト教がローマを動かすようになってからは、明らかにトーンダウンしている。なによりも、前後関係がよくわからないことが多いのである。
本書は、それを、コンスタンティノープルの名前のもととなったコンスタンティヌスからユスティニアヌスまでの東ローマ帝国初期の200年間の歴史を記載している。これを読みながら、そうだったのか、と思うことも多い。この予備知識を基に、ローマ人の物語を再読してみたい。