コンテナ物語:コンテナが輸送だけでなく物流網、産業構造まで変えた

 コンテナは、今や当たり前となった輸送手段である。本署は、その発明から普及までの歴史を追った本だ。
 コンテナ以前の船舶によるモノの輸送は、港における荷物の積み替え作業に多くの時間と人力を要していた。そこにメスを入れたのがマルコム・マクリーンである。コンテナにモノを入れたまま、船に積み込み、そのまま目的地でおろす。さらには、そのまま、トラックや鉄道に載せて運搬するという方法を考案し、実際に事業化した。しかし、その構想の実現には、コンテナを運搬できる船舶、コンテナを扱えるクレーンの開発と設置、などの様々な課題があった。さらには、こうした技術的問題だけではなく、今まで荷役を担っていた港湾労働者の労働問題、輸送に関する規制の問題などの技術以外の問題も山積する。
 こうした問題に対し、先駆者達が地道に解決していく姿は、コンテナが普及してしまった現在の目から見ると、回り道をしているようだが、でも、産業構造まで変えるほどの新しいものを生み出すというのは、こういうことなのだと思う。

 

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